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2006年01月11日(水) ■ |
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Vol.628 小さな命 |
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おはようございます。りょうちんです。
彼は21歳のフリーター。彼女は19歳の大学生。付き合いはじめてもうすぐ1年がたつふたりに、ある日事件は起きた。彼女のおなかの中に、小さな命が授かっていることが判明したのだ。彼は父親になる重大な決意を固め、彼女は生まれ来る命を育てていく覚悟をした。まだ若きふたりは新たに芽生えた小さな命に夢を見出し、未来に希望を託して喜びを分かち合った。 しかし、話はすんなりとは進まなかった。彼女の両親がこの話に待ったをかけたのだ。二十歳前のまだ学生の身分である娘が、突然母親になるなんて考えられない。娘はまだ苦労も知らないし世間も知らない。しかもその相手は、定職にも就いていないフリーターだ。このまま話を進めればきっと彼女はこの先苦労するだろうし、生まれ来る子どもも不幸になるに違いない。そう言って彼女の両親は強く反対し、このことはなかったことにしてほしいと懇願しているとのことだった。 話を聞いて俺はまず最初に、命が宿ったことに対してココロから祝福をした。聞けば、祝福されたのは初めてだと言う。最強の味方だと思っていた両親からも相談した知人からも反対され、誰からも祝福されなかった彼女は、俺のおめでとうのコトバに涙を流していた。 そして俺はこう続けた。親として子どもを育てていくのは、とても大変なこと。でもその決意をふたりが固めたのなら、大切な命を潰すなんて誰にもできるはずがない。あとは生まれ来る子どもをいかに幸せに育てていくか。そのためには親である君たちやまわりにいる人々が、どうすれば子どもにとって恵まれた環境にしてあげられるのか、それを努力していくことが大切。だから苦労は必ずついてくる。ふたりが親としておなかの中の子どものためにすべき最初の難関は、もしかしたら彼女の両親を説得することなのかもしれない。そういって俺は、彼と彼女を応援した。 この話の主役は彼女の両親ではなく、彼と彼女と彼女のおなかに宿った小さな命。勝手な言い分で大切な命をたやすく潰すだなんて、絶対に間違っているのだから。
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