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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2010年10月20日(水)
Vol.768 母の新幹線

おはようございます。りょうちんです。

高校の修学旅行は、定番の京都だった。東京駅から京都までの往復は新幹線。俺が初めて新幹線に乗ったのもその時で、新幹線に一度も乗ったことがない母はとてもうらやましがっていた。
今年還暦を迎えた母は、まさに高度成長期に青春時代を迎えた。東京オリンピックに向けて東海道新幹線が開通した時は中学生だったはずで、光のごとくものすごいスピードで走る新幹線は夢の乗り物だったに違いない。しかし母はその後も新幹線に乗る機会はなく、やがて車が大好きな父と結婚して車中心の生活を送ってきた。どこへ行くにも父の運転する車の助手席にいつも母は座り、だから俺の中では母と一緒に電車に乗った記憶がほとんどないのだ。遠くへ旅行する時も車での移動だったため、新幹線とはずっと無縁のまま。そしてそれは父にも言えることで、俺の両親はそろって今に至るまで新幹線には乗ったことがなく、新幹線開通からもうじき半世紀が経とうとしている今でも、新幹線は夢の乗り物として憧れているのだ。
そんな母の夢が、まもなく叶う。来週紅葉を見に、奥入瀬〜十和田湖〜八甲田山に行ってくる。父や弟たちと一緒の久しぶりの家族旅行だ。きれいな紅葉を見て、新幹線にも乗りたい。そんなふたつの母の願いが一遍に叶うよう、目的地と季節をじっくり吟味して決めた今回の家族旅行。八戸まで東北新幹線はやてに乗って、そこからレンタカーを借りて紅葉の奥入瀬を巡る。十和田湖では遊覧船に、八甲田山ではロープウェイに乗り、青森市内の浅虫温泉で温泉を堪能したあと八戸に戻り、再び新幹線はやてで戻ってくるという2泊3日のプランだ。見どころ満載で、おいしいものもたらふく食べる予定である。ただ、紅葉シーズン真っ最中の観光地に突入するので、混雑は覚悟なのだが。
それでも母は今回の旅行をずっと楽しみにしている。初めての新幹線も、きれいに色づいた紅葉も。北東北の山間部はすでに冷え込みが厳しく、母の体調が少し気がかりではあるが。母の新幹線に乗るという長年の夢は、まもなく動き出すのだ。