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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2012年06月25日(月)
Vol.792 『雨』の思い出

おはようございます。りょうちんです。

カーラジオから森高千里さんの『雨』が流れてきた。この曲を聴くと、思い出す出来事がある。俺が大学時代の、『雨』の思い出。
テニスをメインにいろんな球技をするスポーツサークルなんて名ばかりの、よくあるお遊びサークルに俺は大学時代所属していた。彼女は俺が4年生の時の新入生だから3つ下の後輩になる。その頃の俺は就職活動で忙しく、そもそも1年生と4年生じゃ校舎も違ったため、最初は彼女とそんなに接点もなかったのだが。彼女も同郷の千葉出身でしかも大学進学にあたりひとり暮らしを始めたばかりというところから話も徐々に弾み、何度かサークルに顔を出すうちに親しくなっていった。そんな俺らを見て、友達からは「お前ら付き合っちゃえば?」なんて冷やかされたが。残念なことに、彼女のルックスはお世辞にもけしてかわいいとは言えない。メガネをかけていただけで、当時人気の出てきた女お笑い芸人の苗字が彼女のニックネームになっていた。おとなしく控えめで性格こそ悪くはないが、彼女を良き後輩と思うことはあっても恋心を抱くまでには至らなかった。
ある日、サークルの連中とカラオケボックスに流れ込む。ひとしきり盛り上がったあと、俺は大好きな森高千里さんの『雨』を歌ってと、かたっぱしから女の子にリクエストした。しかし誰も知らないと言って歌ってくれない。ひとりでマイクを握るなんてけしてしない引っ込み思案な彼女にも聞いてみたが、答えは同じだった。
それからしばらくして。サークルの連中を引き連れて、俺はまたカラオケボックスに行った。何曲か歌って落ち着いた頃、突然『雨』のイントロが流れ始める。見ると、マイクを持っているのは彼女。「♪ひとつひとつ消えてゆく雨の中 見つめるたびに悲しくなる〜♪」、と見るからに緊張しながら歌う彼女に俺は驚いた。
実は、彼女は俺のためにCDまで買って歌えるように練習したらしいという話を聞いたのは、俺が大学を卒業してずいぶんたってからのことだ。あの時彼女は、どんな気持ちで『雨』を歌ったのか。『雨』を聴くたび、俺は彼女を思い出す。