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2012年08月11日(土) ■ |
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Vol.795 母のオリンピック |
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おはようございます。りょうちんです。
母は連日、オリンピックに夢中である。元来スポーツ観戦が大好きな母は、特にマラソンとフィギュアスケートに関しては知識も情報もオタクのレベルで、俺が高校野球マニアなのもその血を受け継いでいるからかもしれないのだが、オリンピックじゃなければ放送されないようなマイナーな競技もTV中継されているから、日本人選手を応援しながらその結果に一喜一憂せずにはいられないのだろう。見逃せない試合が夜遅い時間にあったりするからずっと寝不足だと言っていたが、夏の甲子園も始まった今、母は一日中TVにかじりついているに違いない。 穏やかに毎日を過ごしている母だが、昨年あたりからずっと入退院を繰り返している。相変わらず口だけは達者だが、どこかへ出かける時は杖をついて歩くよりも車椅子に乗る方が多くなった。担当医の話によると、少しずつではあるが確実に病魔は母のカラダを蝕んでいて、次に大きな発作が起きたらそれが命取りになる可能性が高いとのことだ。いつ爆発するかわからない爆弾を抱えているような母は、長くてもあと3年、おそらく1年くらいのうちには発作が起きてしまうだろうと直球で教えられた。そんな命のタイムリミットを告げられても平気な顔をしている母は、「だってもう覚悟はできているからね!」と強い目で言う。いやいや、俺はまだ覚悟はできてないよ。そんな気持ちで父を見ると、何も言わない父も俺と同じ思いだということが手に取るようによくわかった。 ロンドンオリンピックを最後に、現役引退を表明している選手もたくさんいる。結果はどうであれ、彼らは最後のオリンピックで悔いの残らないプレーができただろうか。それと同じように、母のオリンピック観戦もこのロンドンが最後になるだろう。次の開催地、リオデジャネイロでのオリンピックをきっと母は観戦できない。だから、母には精一杯ロンドンオリンピックを楽しんでもらいたい。日本人選手の活躍に喜び、たくさんの感動をともに味わいたい。まもなくオリンピックも閉会してしまうが、そんな想いも含めて今夜も俺はTVの中継に釘付けになっている。
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