猫の足跡
一覧|過去へ|未来へ
2002年03月13日(水) |
マレーシアGP観戦記に向けた基礎知識編 |
F1慣れしていない数少ない読者様に大サービス(というかK嬢、あなた向けよ!) F1の大雑把な仕組みと今年のチーム&ドライバー一覧です。紹介順は昨年の成績順。 ※ちゃんと資料を調べてないので間違ってても突っ込まないでね。
◆◆F1の仕組み◆◆ ・1チーム2人のドライバーで年15〜17戦程度世界各地のサーキットを転戦する (最大12チーム24名で争う)
・チーム優勝:コンストラクターズ・チャンピオン、と個人優勝:ドライバーズ・チャンピオンがある ・1GPは、金曜日練習走行→土曜日は練習走行&予選→日曜日に決勝という流れで行われる
・予選は各車最大4回までのアタックで、サーキット1周のタイムを競う。アタックは予選時間中なら自 由に行うことができるため、このタイミングが運・不運を分けることも多い ・予選でトップから107%以内のタイムを出せないと、予選落ちとなる
・決勝のスタートは、予選の順位が早い車から2台ずつ設定された枠から一斉に行う。奇数順位の車は 下図のように、偶数順よりも数メーター前方に枠が置かれる
←(進行方向) | 2 4 6 8 … | 1 3 5 7 …
・決勝は一斉スタートで約300キロのレースを行い、完走車のみ順位が与えられる ・決勝レース中には、給油、タイヤ・パーツ交換のためのピットストップが認められており、そのタイ ミングが勝敗を分けることも多い ・レースごとに1位10点、2位6点、3位4点、4位3点、5位2点、6位1点、7位以下0点のポイ ントが当該ドライバーとチームに与えられ、累計ポイントで年間の総合優勝が競われる
・シャシー(車体)は各チームの自製が必須だが、エンジン、タイヤは複数供給が認められている。い ずれにも、細かい規定(レギュレーション)があり、その範囲内での製造が求められる ・車体、エンジン、タイヤにはそれぞれ各社ごとの特徴があって、それらの組み合わせによって「スト レートで速い車」「コーナーが速い車」「暑さに強い」など強み・弱みがあらわれる ・ドライバーの腕、シャシー、エンジン、タイヤの全てが最高のレベルで揃わないと良い成績が出せな いため、物凄い費用がかかる。特に近年は、車の制御にコンピュータを利用した電子制御装置が多 用されており、莫大な開発コストが発生している
・チームの運営は、 1)各チームのメーカーが出す資金(資本)、 2)成績によってFIA(えふわん協会)から支給される分配金、 3)スポンサーによって出される資金、 を中心として行われるが、その全容は謎に包まれている ・上位チームは1)2)3)とも豊富であるため、優秀なドライバーを金に糸目をつけずに契約するこ とができる。一方で、下位チームは資金運営が厳しく、スポンサーを持ってくることのできるドラ イバーと腕前度外視で契約することもある
◆◆2002年参戦チーム一覧◆◆ 【チーム名(略称):本拠地】 ドライバー#1(国籍)、#2(国籍) ※特徴
【フェラーリ:伊】 M・シューマッハ(独)、R・バリチェロ(ブラジル)
※現在、人気、実力とも最高の名門チーム。 かつてはお家騒動が絶えず、阪神のようなチームだったが、建て直しのため、1996年に当時2回連続の 世界チャンピオンを獲得したシューマッハとそのブレーン(チーム監督、テクニカルディレクター、 マシンデザイナー)を招きいれた。チームは改革に次ぐ改革で大変身を遂げ、シューマッハ移籍後5年 目の2000年、ついに21年ぶりのタイトルを勝ち取った。円熟期のシューマッハが見せる絶対的な速さ と、安定したマシン・優れたチーム戦略によって2002年も本命の座は揺るがないようにも見えるが、 今年度の新車がまだ実戦に出されていない点が不安材料といえる。 史上最強ドライバーとも言われるシューマッハが絶対的な力を握り、ナンバー2ドライバーは常にサ ポートをさせられるという厳しい掟がある。 車体、エンジンとも伊フェラーリ製
【マクラーレン・メルセデス:英】 D・クルサード(英:スコットランド)、K・ライコネン(フィンランド)
※90年代終盤、最強のマシンとM・ハッキネンという名ドライバーを擁して、フェラーリ・シューマッ ハの前に立ちふさがった英国名門チーム。しかし、昨年のマシンが不作でリタイアが頻発し、嫌気が さしたかハッキネンが今期休養宣言。速さはあるが肝心なところでミスの出るDCと、天才の呼び声 高いが、昨年F1デビューしたばかりの超新星ライコネンによって、どの程度やれるかが今年の鍵。 マクラーレン製シャシー(車体)に独メルセデスエンジンを使用 【ウィリアムズ・BMW:英】 R・シューマッハ(独)、J・P・モントヤ(コロンビア)
※一昨年からBMWが名門ウィリアムズと組んで参戦。同年復活参戦のホンダから勝手にライバル視さ れるも、それには目もくれず、あっという間にTOPチームにのし上がったのは、流石BMWという べきか…。エンジンの力は間違いなく現在ダントツ。M・シューマッハの7歳年下の弟ラルフと、米 国CARTレースでデビュー年に優勝した天才モントヤという、次のチャンプを狙う2人のドライ バーの熾烈なライバル関係からは目が離せない。 ウィリアムズ製シャシー(車体)に独BMWエンジンを使用
【ザウバー・ペトロナス:スイス】 N・ハイドフェルト(独)、F・マッサ(ブラジル)…新人
※昨年の同僚K・ライコネンにマクラーレン・メルセデス移籍を目の前で攫われてしまった元メルセデ ス・ジュニアチームの秘蔵っ子ハイドフェルトが、今シーズンどこまで意地を示すことができるかが 見所。マシンはフェラーリの1年落ちエンジンだが、年々車全体の仕上がりが向上しており、かつて の中堅チームという位置付けから一歩抜け出た印象がある。 マレーシアの石油会社ペトロナスがメインスポンサー。 ザウバー製シャシー(車体)に伊フェラーリの旧型エンジンを使用
【ジョーダン・ホンダ:英】 G.フィジケラ(伊)、T.佐藤(日)
※ホンダがエンジン供給している2つ目(!)のチーム。かつてはトップ4を形成していたが、年々 (特にホンダが絡んでから)ポジションが落ちている。オーナーがドライバーを「消費」するタイプ のチームで、昨年から今年のフレンツェン解雇→アレジスポット契約→琢磨、トゥルーリ→フィジケ ラへの激しい入れ替わりなどが、却ってマシンの戦闘力低下に繋がっている懸念もある(ドライバー もテスト走行など開発の重要なファクターであるため)。 今年は佐藤琢磨のデビューで“日本的には”注目が集まっている。 ジョーダン製シャシー、ホンダエンジンを使用。
【BAR・ホンダ:英】 J・ヴィルヌーヴ(カナダ)、O・パニス(仏)
※99年、ホンダ復活!と鳴り物入りで参戦し、ホンダのメインチームとして将来の「オールホンダ」化 を図っていたが、鳴かず飛ばず。参戦初年度、2年目あたりは、実況アナが、ことあるごとに「ホン ダ・パワー」だの「日の丸カラー(失笑)」だのと持ち上げていたが、最近はすっかり影が薄くなっ てしまい、80年代のホンダ全盛期を知るオールドファンには寂しい限りである。 元ワールドチャンプ、J・ヴィルヌーヴも“いぶし銀のパニス”とトントンの走りしか見せられず、 「97年の優勝は車の性能だけ」とささやかれ、チームもドライバーも今年あたりが正念場か? シャシーはBAR、エンジンはホンダ製
【ルノー:英】 J.トゥルーリ(伊)、J.バトン(英:イングランド)
※フランスの自動車メーカー、ルノーが「ベネトン」チームを買い取って「オール・ルノー」でF1に 完全復活。昨年はマシンが仕上がらず、フィジケラ・バトンの2人のドライバーが相当泣かされ、特 に2年目の若いバトンは一昨年とのパフォーマンス差に、クビの噂も耐えなかったが、今期マシンと ともに急浮上も見られそう。“予選番長”トゥルーリは、その速さを決勝で見せれば表彰台の常連も ありうるが…。 シャシー、エンジンとも仏ルノー製(スタートを制御する装置はなんと日産の技術だそうだ)
【ジャガー:英】 E.アーバイン(英:アイルランド)、P・デ・ラ・ロサ(西)
※元フェラーリのセカンドドライバー、E・アーバインが「同じチームの同じマシンでは誰もMシュー を倒すことができない。だから自分は移籍して、シューを倒す」大言壮語して乗り込んだチームだが、 マシンの戦闘力不足と上層部のごたつきで、すっかり下位グループの仲間入りしてしまった。 そして今年のマシンは早くも冬のテスト期間中に「大失敗」の烙印が押されてしまう始末…。優美な ジャガー・グリーンがサーキットで泣いているように見える。 シャシーはジャガー。エンジンはコスワース(=ジャガーの現在の親会社フォードエンジン) 【アロウズ:英】 H・H・フレンツェン(独)、E・ベルノルディ(ブラジル)
※オーナーの特徴か、毎年生臭いドライバー交代を行うチーム。今年も、プロストチームの倒産騒ぎで シートを失ったフレンツェン獲得のために、既に契約を交わしていたドライバーを追い出すなど、色 々お騒がせだ。その分の労力をマシン開発に使ったほうがよいのではないかと思うのだが。 フレンツェンは過去4勝したことのあるベテランドライバー。昨年ジョーダンチームから突然の解雇 を受け、移籍先のプロストは倒産と不幸続きだが、まだまだやれるところを見せることができるか。 若手の台頭著しいだけに厳しい一年となりそう。ベルノルディは俗に言うスポンサードライバー。 アロウズのシャシーに、ジャガーと同じ非力なコスワースエンジン搭載
【ミナルディ・アジアテック:英】 A・ユーン(マレーシア)、M・ウェバー(オーストラリア)
※「サーキットの露払い」ミナルディ。弱小チームの代名詞のように言われている。昨シーズンからマ レーシア中の期待と資金を背負ったA・ユーンという持参金つきドライバーを参戦させることによっ て、開発資金を獲得し、今シーズンの最下位脱出を狙っている。 ただし、ユーンは…。フォーミュラ・ニッポンからのステップアップだが、ハッキリ言って日本です ら決して速いドライバーではなかったので、期待薄。 ミナルディのシャシーに、エンジンは…アジアテックってなんだっけ?プジョー?(ごめんよ〜〜) 【トヨタ:独】 M・サロ(フィンランド)、A・マクニッシュ(英:スコットランド…だっけ?)
※今シーズン注目の的。世界最大の自動車メーカーが満を持しての登場。参戦に際しては、ただでさえ 「あのトヨタが」と危機意識を持って迎えられたうえ、そこらじゅうのチームから人材をヘッドハン トしまくったため、かなりうらまれているらしい。開幕前のテスト成績はいま一つで「いかにトヨタ とはいえ、F1はそんなに甘くない」と散々貶められていたが、実戦では想像以上に良い車を出して きているようだ。開幕戦では運も味方したとはいえ、6位獲得。直線の速さはBMWに迫るタイムを 出している。サロは日本で走ったこともあるベテランドライバー。Mシューが骨折で欠場した際の フェラーリで代役出走し、表彰台に乗ったこともあり侮れない。マクニッシュはル・マンでトヨタと 組んで活躍したドライバー。こちらも大ベテランだがF1ではルーキー!
============================================== 長々お疲れさまでした。ってなわけで、F1とはある意味トランプの「大富豪(大貧民)」のようなスポーツで、「強いやつはより強く、弱いやつはより弱く」なんですね。ドライバーにとっては、いかにして腕をアピールして上位チームにステップアップするかが大テーマになっているわけです。そんな風に見るときっとわかりやすいんではないでしょうか。
|