猫の足跡
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2002年03月17日(日) 決勝

 朝8:45とゆっくりした出発なのに、大遅刻するばか者がおり、朝から今ひとつのスタートです。

 流石に決勝日は人がこれまでに比べて多いので、自席の近くでウォームアップ走行やドライバーズパレードを眺めました。K1席は、やはりレース好きの集まる席と見え、近くにはシューマッハサポーターと思われる「赤ヅラ」集団や、ジェンソン・マニアとおぼしきユニオンジャック集団。ジョーダンのサポーターらしき一団はフィジコの故郷イタリアの色に合わせた風船をもってきており、なかなかおしゃれでした。ウエーブなんかも始まって、雰囲気は絶頂。

 そして…自席では、フィンランド人集団がすでに盛り上がっており、「おい、今までどこで見てたんだ、探したよ」なんていきなり酒が回されてまいりました。反対側隣のイタリア人の美人お姉さんがこっそり話してくれた内容によれば、「予選の時は、ものすごく大きいフィンランド国旗を振り回して、大声で歌ったから、後ろからドイツ人集団が乗り込んできて大変だったのよ!全くもう」だそうで…。
 今日も早々とライコネン応援歌炸裂。シューマッハ登場では大ブーイング(でも、琢磨もちゃんと応援してくれるあたりいいおじさん達なんですよね)。私もライコネンやらサロやら琢磨やらを応援しつつ、もう一度、隣のイタリア美人と話をしました。イタリア人だからてっきりフェラーリファンかと思えば、「彼氏(隣に座っている)はフェラーリなんだけど、私はマクラーレンファンなの!それにしても、トヨタ、やるじゃない。結構いい車作ってるわね」なんてなかなか通っぷりを発揮してくださいました。

 決勝目前。今日も空軍ホーネットのデモフライトが行われました。空気は湿気を含んで、音速を超えるホーネットの翼からは水蒸気が雲を作っているのが見えます。これは、ひょっとしてスコールもあるかもしれないと思わせる湿度になっています。

   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 さて、決勝のスタート。

 レッドシグナルがゆっくりと1つずつ点灯し、そして1つずつ消え……心臓がばくばく高鳴ります……ALL GREEN!

 スタート直後の直線でシューマッハはトップを守ろうとやや強引な幅寄せ。ほぼ正面からそれを見ることのできるK1席の私たちは、「うぉーおおおお」と地鳴りのように喚声をあげます。そして、2番手モントヤとの1コーナーの飛び込みにさらに大歓声。瞬きすらできずに見守る次の瞬間、2コーナーの入り口で2人が接触し、コースにはシューマッハのフロントウイングが…。まるでスローモーション映像を見ているようでした。直後、悲鳴とブーイングと歓声が交錯し、鳥肌が立つほどの興奮でした。

 で、件の接触ですが、後でモントヤにペナルティが課せられたと知ってビックリしました。順位が落ちたのは、てっきり接触の影響でピットインしたのだとばかり思っていたので…。
 目の前で見ていた人間には「レーシング・アクシデント」にしか見えませんでしたけれどね…。シューさんは相変わらずストレートで強引な幅寄せするし、モントヤは1コーナーでインを締めるし、お互いギリギリのけっこうえげつない争いだったけど、それは了承済みの闘いに見えました。

   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 次の周回。今度はなんと琢磨が同僚フィジケラに激突。おカマ掘っちゃったってやつです。前でフィジコがトヨタのミカ・サロと熾烈なバトルをしていたので、ブレーキングポイントを見誤ったのでしょうが、お粗末です。前回はマシントラブルとはいえ、フィジコにやっぱり迷惑をかけ、今回は撃墜しちゃたら、もうあわせる顔はありません。今シーズンよほど速さを見せてフィジコを実力で圧倒しない限り「琢磨はフィジコの犬」決定です。
 「た〜くまぁぁ。フィ〜ジコォォ」と頭を抱えて叫んでいたら、左右のおっさん、お姉さんが、慰めてくれました。

 予選で素晴らしい頑張りを見せたハインツは、スタートトラブルで最後尾。相変わらずなんてツイていない人なんだろう。でも、その後の追い上げがまた素晴らしく、ハインツらしい走りを見せてくれました。

 1コーナーは本当に素晴らしい観戦ポイントです。ハイドフェルトとモントヤのしびれるようなクロスライン・バトル…などなど。ハイドフェルトはスポンサーのご当地レースで凄い見せ場を作りました。

 一方、かわいそうだったのはマクラーレン。2台とも途中リタイヤで、ついでにサロもトラブルで、とうとうフィンランド人のおじさんたちは早引けしてしまいました。イタリア人のお姉さんは彼氏から何言われたんだか喧嘩を始めるし…。特にDCは昨年のミカのようで、今シーズンの先行きが危ぶまれます。今朝の新聞でも、フリー、予選とキミに先手を奪われ、「マクラーレンのエースはどっちだと思うか」なんて記者に質問されてぶちきれてる模様があからさまに描かれてました。DCには一応マクラーレンのエースとしてシューといいバトルをして欲しいと思います。

 更に、もう言いようがないくらい哀れだったのは、久々の勝利目指して快調に飛ばしていたバリチェロです。スタートで上位2台がつぶれてくれたおかげでトップが転がり込んだとはいえ、良い走りを続けていたのに、マシンから突然の白煙で痛恨のリタイア!!!張り裂けそうな思いをしているはずなのに、それでも健気に観客席に手を振って、そのあと、コース脇で顔を埋める彼の姿が場内のオーロラビジョンに映し出され、周囲はため息が漏れました。

 そしてタナボタ勝利はラルフの元に…。ラルフは前戦の不幸を帳消しにするかのように、一人ノートラブルで進んでいきます。

 シューは、フロントウイングの付け替えをして、最後尾から攻める攻める。怒涛の追い上げを披露してくれました。普通のドライバーならあきらめて、馴れ合いの走りしかしない位置から予選のようなギリギリの走りを続けます。こういうときのシューさんは本当に他のドライバーとの違いを見せてくれますね。6位以内のポイントを獲得に全力を尽くし、その後も手を緩めず、最終的には表彰台に立ってしまうんだから、凄いです。

 最終ラップでシューさんにやられちゃいましたが、バトンも良かったです。バトン・ファンって多いんですね…。声援が沢山飛んでいました。最終ラップ近く、シューさんの追い上げが迫ったところからは悲鳴と怒号が交錯し、客席はすごい興奮でした。私もここまで頑張ったバトンに肩入れしてしまい、「ジェェンス!!!!」と叫んだものの、ついに抜かれてしまい残念でした。とらぶるだったようですね。

 結果は、以下のとおり。インタビューなどは場内放送が悪くて聞き取れなかったのですが、モントヤの不機嫌ぶりと、兄弟表彰台にしてはいつもよりあっさりしたシャンパンファイトが気になりました。 

1 R・シューマッハ   ウィリアムズ・BMW    1:34’12.912
2 J−P・モントーヤ  ウィリアムズ・BMW      39.700遅れ
3 M・シューマッハ   フェラーリ         1’01.795遅れ
4 J・バトン      ルノー           1’09.767遅れ
5 N・ハイドフェルト  ザウバー・ペトロナス    1’36.300遅れ
6 F・マッサ      ザウバー・ペトロナス        1周遅れ
7 A・マクニッシュ   トヨタ               1周遅れ
8 J・ヴィルヌーヴ   BAR・ホンダ           1周遅れ
9 佐藤琢磨       ジョーダン・ホンダ         2周遅れ
10 P・デ・ラ・ロサ   ジャガー・コスワース        2周遅れ
11 H−H・フレンツェン アロウズ・コスワース        2周遅れ
12 M・サロ       トヨタ               3周遅れ
13 G・フィジケラ    ジョーダン・ホンダ         3周遅れ
  <以上が完走>

   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 さて、レース終了後、バスに向かいます。
 鈴鹿は秋の開催なので、レース後に日が暮れていく感じが物寂しくて風情がありますが、こちらはまだまだ日が高く、皆明るく楽しく帰路につきます。夏のGPらしくていい感じです。

 途中の駐車場で、椰子の木から下げられているマレーシアGPの大きな垂れ幕をはがしている人を発見。どうやら戦利品にする目的のようです。私も欲しくなったので、ちょっと下から引っ張ってみましたが全然取れません。近くにいた駐車場警備のお兄さんに「手伝って」と言ったら、「(木に)登らなきゃ無理だよ」と言われ、悔しいので、椰子の木に登って針金を外してGET!下から見てた兄ちゃんに思わずVサインしちゃいました。

 こういうのも含め、レース観戦って本当に楽しいです。これからの選手権もまだまだ見所が多そうですし…今シーズンも楽しませてもらいます。

 マレーシアGP、すごくよかったです。来年も来るぞ!今度は自力で!!


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