猫の足跡
一覧|過去へ|未来へ


2002年06月11日(火) ワールドカップ体験記in横浜

 ワールドカップ、アイルランド−サウジアラビア戦を観て参りました。

 やっとの思いで手に入れたチケット…とはいえ、カードがなぁ。サウジ、弱すぎるんだもん。同じアジアブロックの代表なので、サウジを応援するつもりだったのですが、あの8点取られたドイツ戦でちょっと萎えました。しょうがないから、アイルランドの応援かなあ。そっちは、決勝Tもかかってるし(実は、アイルランドの決勝T進出よりも、同グループドイツの決勝T進出のほうが気になっていたり…。ああっ、クローゼってばツボだわー!)。

 会社を半休して、部屋に戻ってYを待ちます。ヤツはうまいこと東京出張打ち合わせを1:00〜3:00ではめたようで(エライっ!)、終わったらダッシュでウチで着替えて出かけることに…。実際は、デンマークーフランス戦をついつい観てしまって、出かけたのは5時半近くでしたけど。
 駅前で食料品を買い込んで、東横線に乗り込んでいざ横浜!周りにもご同輩はいるかなあ?と思うまもなく、目の前のお客さんは、オレンジと緑の派手な帽子(シルクハット風の形。どう見ても特注)とマントのような服に身を固めたアイルランド人グループ4人(男3女1)。すごいコスプレ。もう、この段階で、気分はかなり盛り上がって、わくわくしてきてしまいました。

 菊名で降りると、周りはもう、緑とオレンジだらけ!みんな、思い思いの格好でとっても楽しそう!目立ってたのは、頭に緑色の魚をかぶっている人、背中に緑色の応援人形(体長1M、リュック型)を背負っている人、全身緑の大司教の格好をしている人、全身タイツにサッカーボールの張りぼてをつけているおねえちゃん(ロボコンか、たけし城のコニシキくんみたい)。などなど。

 新横浜の駅を出て、コスプレ集団とともに競技場に向かいました。早くもそこらじゅうで盛り上がっていて、単純なYは「いやー、俺、これ体験できただけでもすごいと思うわ。良かったよ、これぞワールドカップって感じだよな。感動しちゃうよ」といつものように早くも舞い上がっていて、私は失笑しながらも「そうだねー」と祭り好きの血が騒ぎ、一緒に舞い上がってしまうのでした。

 ワールドカップの本質は「カーニバル」だとは時折言われることですが、道中よくよく感じることができました。

 4年に1度の高揚、戦いに付きまとう悲喜こもごものドラマ、仮装して踊り、歌う群衆。動く金に群がる闇の力…。ラテンの国が強く、熱狂するのがよくわかります。

 でも、アイルランド人がアイルランドの服に身を固めているのはともかく、日本人のほとんどがアイルランド・サポーターと化しているのは、非常に気になるのでした。そりゃ、サウジ弱いから応援したくなくなるのはわかるけど、ちょっとアジア圏の同胞としては薄情ではないのかしら…。自分もアイルランドの応援をしようとしていたくせに、天邪鬼の琴線がかきならされてしまうのでした。

 さて、競技場までの楽しい道中も終わり、ゲートへ到着。あらかじめYから「ペットボトルは開けさせられちゃうから、奥に隠しといてね」と言われており、私のリュックのなかに入れていたのだけれど、舞い上がってる最中に係員から「ペットボトルの飲み物お持ちですか」と問われ、反射的に「はい」と言ってしまった正直者が約1名。ごめんなさい。おっちょこちょいなんですってば。その後も、舞い上がってチケットをどこにしまいこんだか分からなって探すこと複数回。とうとう、場所を動くたびに「チケットちゃんと持ってる?」と確認されてしまうありさまで…。そういえば、先に買っておいた切符とかも良く紛失するんですよね、昔から。

 自分の席にたどりつくまで最後のゲートでは、係員がフレンドリーな若者で、「どっちの応援するんですか」と聞いてきました。思わず、「サウジ弱いからアイルランドの応援しようと思ってきたんだけど、みんなアイルランドの応援ばかりだから、サウジびいきかな」と言ってしまったら、とてもうれしそうに、「そうですよね、僕もサウジ応援してるんですよ、みんなアイルランドの応援ばかりだから!」と顔をほころばせたのが印象的でした。Yは、「え、ホントにサウジの応援するの?」と懐疑的でしたが。

 席は、けっこう観やすいポジションでした。すぐ近くにはアイルランドサポーターの大集団が陣取っていて、雰囲気も最高!持ち込んだお弁当などを食べていると、まだまだキックオフまで1時間もあるのに応援歌の大合唱。ミニゲームを披露してくれた地元のサッカー少年をビックリさせていました。サッカー少年たち、いいよね。横浜の芝、6万人の観衆の中でプレーするなんてもう二度とないぞ!(元サッカー少年Yがうらやましがることしきり、「俺も、一回でいいからこのピッチでプレーしてみたいなあ、俺なんかの頃、芝のピッチなんてなかったんだよ」ってあんたその台詞3回目…)。

 アイルランドの応援歌のうち、2曲くらいは「アイルランド民謡」として音楽の教科書に出ていたものでした。名前は忘れちゃったけど、ちゃんと歌えるので、思わず一緒に口ずさんでいたところ、Yに「何で知ってるわけ?」とビックリされてしまいましたが、私にいわせりゃ「何で知らないの?学校で習わなかった?」。いやー学校教育って偉大だわ。

 そんなこんなしているうちに、選手が入場。国歌斉唱と記念写真になりました。アイルランドの国歌の時は、みんな(日本の馬鹿な若者以外)総立ちで合唱して、聞いている私も肌が総毛立つほど興奮しました。一方、サウジの国歌は誰も歌う人がいなくてとても寂しい(ついでに言うとサウジサポーター席は空席がごそっとありました)状態。

 あ、そうそう。選手と一緒に手をつないで入場してくるあの小学生たち、みんな緊張しているんだろうし、あれしちゃいけない、これしちゃいけないって色々言われているんだろうけど、無表情の仏頂面は止めて欲しいなあ。日本組織委員会も、せめて担当する国の国歌くらい練習させておいて、一緒に歌わせたら選手はさぞ感動したろうにと思います。

 試合自体は…。やっぱり力の差でしょうか、息をのむような高いレベルで繰り広げられる技というわけではなくて、印象がちょっと薄めでした。サウジのキーパーってば取りこぼしシュートされちゃったりするし。アイルランドも後半はなんだか精彩なかったし。
 まあ、それでもJなんかと比べると格段にうまいし、緩みの無い真剣勝負で見惚れてしまうのですが。ロビー・キーン(アナザー・キーンと呼ばれていた)は良かったですしね。
 アイルランドのサポーターは終始ノリノリでした。前の人の肩に手を乗せ、いわゆる「ジェンカ」スタイルで応援歌を歌い踊りながら例の「大司教」を先頭とするおやぢ五人衆の隊列が通路を往復すれば、何時の間にやら、ハーメルンの笛吹き男状態で後ろにはサポーターの大群ができてしまったり、パブのサッカーチームと思われる集団が旗を振り回して大合唱したり…。その意味では、本当に楽しい試合でした。

 残念だったのは、後半、3点目が入って、もはやアイルランドの勝利は時間の問題となったとき。喜びに湧くアイルランドサポーターが「アイルランド!!アイルランド!!」と大コールを送っていたら、悪ノリした日本サポーターが「ニッポン!ニッポン」とコールし始め、まだ、アイルランド−サウジアラビアの試合中だというのに一時的に「ニッポン・コール」で周囲が埋め尽くされてしまったことです。勝利を目前とした喜びに溢れているアイルランド・サポーターは一緒にコールしていたし、おそらくアイルランド・チームの側はそれほど不快に思わないでしょうけれど、負け試合になりつつある中で、精一杯のプレーを続けているサウジ・チームとそのサポーターがどう感じるかと思うといたたまれない気持ちで「早くやめてくれ」と祈りました。
 私は、無神経な日本サポーターを恥ずかしく思います。いつから、この国は、こんな風に他人の痛みを感じることのできない人ばかりになってしまったのでしょうか?

 「ニッポン・コール」が尻すぼみになるまでの長い一瞬、とても悲しい気持ちに襲われたのですが、その後にやってきた感動は嫌な思いを洗い流してくれました。

 審判の長い笛の音がスタジアムに響き渡ってアイルランドの勝利が決まった瞬間、地響きがするような歓声が沸き起こり、競技場それ自体が生命をもっているかのように膨らみました。「喜びが爆発する」という表現がありますが、本当に、大玉の花火がズドーンと爆発したかのような「衝撃波」なのです。感動でぼんやりした頭で「ああ、声って“波”なんだなあ」と妙なことを思ってしまいました。
 選手達が喜びに揺れる四面の観客席近くまでやってきて、勝利の喜びを分かち合います。帰りの混雑を避けたい人たちが席を立ちはじめますが、アイルランド人サポーターはまだまだ興奮状態で盛り上がっています。

「 どうする? もうちょっとこのまま居ようか…」Yからこう声をかけられて、この感動をもう少し味わっていたい気持ちが同じでよかったと思いました。そういえば、試合終了直前からここまで、二人で来ているというのに、ほとんど会話もしていなくて、ただ、ひたすら全身でワールドカップを感じて、夢のような時間を過ごしていたんだ、とワールドカップの魔力に改めて感服。

 興奮覚めやらぬアイルランド人を除いて、ほぼ人の波が出口方面に向かい出した頃、私たちも席を立ちました。周辺で繰り広げられるサポーターの盛り上がりぶりを見ながら、駅まで「よかったねー、本物のワールドカップ観ることができて」と話つつ帰ります。あまり混雑していないのが拍子抜けでした。横浜市やJR、その他JAWOC関係者の尽力のおかげでしょう。押し合いへしあいすることもなく、電車も待たずに乗って帰ることができました。ただ、よく考えればたった6万だか7万だかなんですよね。本気で取り組めばちょろいもんかもしれません。だって、東京競馬場なんてG�汽Εぁ璽�には毎週10数万の観客をスムースにさばいているんですもの。JRAのノウハウ恐るべし、ですね。

 最後は、東横線某駅前近くで朝までやっている飲み屋さん(ウエスタン調の店だからってSTALLIONって名前はどうかと思いますが…)へ。まずは、アイルランドの勝利に対しギネスで乾杯。軽く飲んで帰るつもりだったのに気がつけば午前2時半を回っておりました。お互い、明日は半休とっているとはいえ、仕事なのに。まあ、開店休業でも許されるかな。えへへ。


キューピー |MAIL