猫の足跡
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今日は、スペインGP初日。
朝、近所にあるスーパーのパン屋で朝昼ご飯のサンドイッチを調達して、駅へ向かう。駅には「サーキットに行くぜ!」という恥ずかしい?格好の人がうろうろしていて、ちょっとかっこ悪いな、と思いながらも、心が浮き立ってしまう。
駅のインフォメーションで念のため、モンメロ(サーキットのある駅)行きの電車のホームを尋ねると、「6番線だよ」といいながらコピーした時刻表までくれた。さすが、手馴れていらっしゃる。切符は先に購入しておいたBONOTREN(約12euro)を使用するので楽勝。 電車は30分に1本しかない。日本のように、F1だからと増便するようなこともないらしい。サーキットのサイトでは駐車場案内のところに「混む電車よりも車のほうが便利!」などと書いてあったので、どんなひどいことになるのかと思いきや、さほどの混雑もなく、ちゃんと座って行くことができた。8時くらいならぜんぜんOKということだろうか。それとも金曜日だからだろうか?はたまた、こちらの「混雑」はこんな程度なんだろうか。
バルセロナ・サンツ駅からモンメロ駅までは、およそ30分の乗車。あっという間に車窓は郊外の風景になった。駅からは歩いて20分。正面(東)ゲートでのチケット受け渡しなので、そちらに向かうのだが、みな南ゲートに向かってしまい、心細い。と思うと、脇を車のお兄ちゃん(←F1に盛り上がってしまったおバカな若者ども)が、「かわいいね〜!サーキット行くの?乗せてあげようか?」などクラクションを鳴らしていく。周りを見渡せば、歩いているのは私だけ。大丈夫かしら?…と思ってがしがし歩いて、ようやっとゲートに。
チケット販売のお姉ちゃんは、なにがおかしいやら、後ろのにーちゃんと談笑ばかりしていて、ぜんぜん手が遅く、行列してるのはおかまいなし。おまけに、英語すら片言のドイツ人と英語しかしゃべれない英国人が多く並んでいるというのに、英語は話せず、いちいち後ろの兄ちゃんに助けてもらう始末。こんなやつ、チケット売り場に配置せず、もぎりでもやらせろよ、と思うが、それもスペインらしさか?
やっと、チケットを入手して中に入ると、金曜朝の特定チームのみのテスト走行は終盤近く。とりあえず、近場でコースを見られるところに行く。自由席でもストレートから見られることがわかる。また、1コーナーからのS字をあがったところも自由席になっていて、こちらはテレビカメラと同じアングルで、コーナーをあがってくる車が良く見える。フェンスも気にならない高さだし、天気がよければ、早く来てここに陣取るのが正解かもしれない。
私の席は、ストレートエンドの上段。1コーナーへの飛び込みと、S字をあがる車がばっちり見えるいわば「レース好き向け」の席だ。更に、バックストレートに向けて坂から戻ってくる車も遠くに見えるいい位置だった。「ここがいいだろう」と思って指定したとおりだったので、一人で悦に入る。シューさんは、果たしてどんなレースを見せてくれるだろうか。そして、2000年の秋、鈴鹿の1コーナーで惚れ、「次のシューさん」に勝手指名したアロンソ様は、地元で結果を出せるんだろうか? 隣は、BMWの帽子をかぶった4人組。あんまり話をする雰囲気ではなさそうでちょっと残念。
場内は、非常に物価が高い。しみったれた200mlくらいのビールが4.5EURO、オレンジジュースは、絞りたてじゃなかったらぶっ殺したくなる4EURO(おいしかったから辛うじて許す)。サンドイッチも4.5EURO、ポテトチップス2EURO。とまったく、日本のサーキット値段。日本でも「高い」と思うのに、スペインでは、市中の物価が安いだけに、ぼったくりとしか思えない。だって、カフェでビール飲んでも、2EURO以下なのに。スーパーで安い缶入り350mlだと0.3EUROくらいなのに!!信じられない。 そして、ドイツ人の迷惑なこと。ビールとサンドイッチすら注文できないってひどいぞ、ごらー。君達の主食なんだから、馬鹿の一つ覚えでいいから「ウナ、セルベッサ、イ、ボカティージョ、ポルファボール」くらい覚えてきなさいって。あの椎名誠ですらちゃんとそれだけは覚えたんだから(笑)。君達のせいでいつまでたってもこっちに順番が回ってこないんだからさあ。思わず、売店のおねぇちゃんと、「これだからドイツ人はいやよね〜」ってな会話しちゃったじゃないか。
サーキットの設備はかなり良い。トイレもきれいでそんなに混まない。ごみ箱もそこらじゅうにあるのでまわりもきれい。食べ物の売店は馬鹿みたいに高いけど、結構あるし、ショップもいろいろと出ている。各チームのオフィシャルブースも結構楽しくて、特に、ミシュランのコーナーでは、レースカーへのタイヤつけ競争などのイベントをやっていて非常に面白かった。参加者が1チーム12名の構成で2チームに分かれ、ちゃんとメカニックの服に着替えて、タイヤをはずし、新しいタイヤを付けるところまで完了させる速度を競う。よっぽどやってみようかとおもったけれど、やはり日本人たるものブリヂストンを応援せずにどうする!ってことで取りやめ(なぜかここだけ国粋主義者?)。
そして、初日だけだと思うけれど、昼休みにはグラスタなどにも入れてくれちゃう(というかチケットチェックがない)のだ。各ピットの作業などを見ることができるというのはうれしいが、欧州人にはあまり興味がないのか、うれしがっているのは私だけのようだった。
それにしても、つまらないシステムの予選になったものだ。あの給油制限のせいで、予選の速さに意味がなくなってしまった。1回しか走らないから、各ドライバーがタイムを削っていく「凄み」みたいなものが、見られないし。フリー走行も、どのチームが何をやっていて、どんな意図でタイムを出しているのかがまったくわからない。うーむ。なんとかならないかなあ。確かに、フェラーリ独走はつまらないし、決勝はオーバーテイクが増えたと思うけれど、3日間の楽しみと考えると疑問だ。
初日のフリー走行は、例によって、誰が何やっているんやら全く分からない。…にしてもシューさん、遅すぎませんか?そして、アロンソ君、地元だから頑張ってる雰囲気がありあり。ラルフは…まあ、今日だけでしょう。
【フリー走行結果】 ◇1 R・シューマッハ ウィリアムズ・BMW M 1’17.015 2 J・トゥルーリ ルノー M 1’17.138 0.123 ◎3 F・アロンソ ルノー M 1’17.184 0.169 ◇4 D・クルサード マクラーレン・メルセデス M 1’17.209 0.194 5 O・パニス トヨタ M 1’17.220 0.205 ◇6 J−P・モントーヤ ウィリアムズ・BMW M 1’17.897 0.882 7 M・ウェバー ジャガー・コスワース M 1’17.933 0.918 8 J・バトン BAR・ホンダ B 1’17.986 0.971 9 C・ダ・マッタ トヨタ M 1’18.101 1.086 ◇10 R・バリチェロ フェラーリ B 1’18.303 1.288 11 A・ピッツォーニア ジャガー・コスワース M 1’18.350 1.335 12 R・ファーマン ジョーダン・フォード B 1’18.639 1.624 ◎13 H−H・フレンツェン ザウバー・ペトロナス B 1’18.691 1.676 14 J・ヴィルヌーヴ BAR・ホンダ B 1’18.731 1.716 ◎15 M・シューマッハ フェラーリ B 1’18.738 1.723 16 G・フィジケラ ジョーダン・フォード B 1’18.954 1.939 17 N・ハイドフェルト ザウバー・ペトロナス B 1’19.219 2.204 ◇18 K・ライコネン マクラーレン・メルセデス M 1’19.337 2.322 19 J・ウィルソン ミナルディ・コスワース B 1’20.264 3.249 20 J・フェルスタッペン ミナルディ・コスワース B 1’20.559 3.544
◎蚊取犬お気に入りの選手 ◇注目or有力選手
お昼ごはんは、座席下の芝生でサンドイッチとビール。バレンシアのスーパーで買ったオレンジをもっていったので、ナイフでむいて食べたら、すごく美味しかった。バレンシア・オレンジ、最高!
フリー走行ではまったくだったシューは、予選ではきっちり指定席。ケロもまあ普通にやって3番手。アロンソは、フリーでは良い走りをして観客も大満足だったのに、結局ミスがあり、同僚のトゥルーリの2番手に1秒近く差をつけられて10位。キミもフリーは良かったのに、DCと同じく不気味な7、8番手。ラルフ・モントヤはどうなっているのやら。ラルフはフリーまあまあだったんだけどねぇ。モントヤはこのシステムになって全くついていないし、ラルフはこういう一発勝負が苦手?予想外だったのはトヨタ組。まさか4番手6番手にくるとはねぇ(正直、うれしくない)。BARのバトンは気を吐いて5番手、大口野郎のヴィルヌーヴを実力で負かしちゃえ!とちょっと応援。
【予選1回目】 ◎1 M・シューマッハ フェラーリ B 1’17.130 2 J・トゥルーリ ルノー M 1’17.149 0.019 ◇3 R・バリチェロ フェラーリ B 1’17.218 0.088 4 C・ダ・マッタ トヨタ M 1’17.443 0.313 5 J・バトン BAR・ホンダ B 1’17.613 0.483 6 O・パニス トヨタ M 1’17.746 0.616 7 M・ウェバー ジャガー・コスワース M 1’17.793 0.663 ◇8 K・ライコネン マクラーレン・メルセデス M 1’17.862 0.732 ◇9 D・クルサード マクラーレン・メルセデス M 1’18.060 0.930 ◎10 F・アロンソ ルノー M 1’18.100 0.970 ◇11 R・シューマッハ ウィリアムズ・BMW M 1’18.409 1.279 12 J・ヴィルヌーヴ BAR・ホンダ B 1’18.461 1.331 13 A・ピッツォーニア ジャガー・コスワース M 1’18.528 1.398 ◇14 J−P・モントーヤ ウィリアムズ・BMW M 1’18.607 1.477 15 G・フィジケラ ジョーダン・フォード B 1’18.879 1.749 ◎16 H−H・フレンツェン ザウバー・ペトロナス B 1’18.909 1.779 17 N・ハイドフェルト ザウバー・ペトロナス B 1’19.050 1.920 18 R・ファーマン ジョーダン・フォード B 1’19.195 2.065 19 J・フェルスタッペン ミナルディ・コスワース B 1’20.822 3.692 20 J・ウィルソン ミナルディ・コスワース B 1’21.100 3.970
観客は、地元アロンソの応援で真っ青かと思えば、そうでもなく、やはりフェラーリファンが多くて赤が目立つ。ショップもフェラーリ物が中心の品揃えで、次点にBMWウィリアムズとルノーが続く感じ。あとはザウバー。ドイツ人が多いせいか?ただ、スペイン人は当日になってからチケットを買ってやってくるという話だから、決勝までにアロンソの調子が良いと、勢力図は大幅に変わるかもしれない。 日本人、というか東洋人は皆無。二人ほど「そうかな?」という人に会ったが、こっちが声をかけにくそうな怪しい格好をしているせいか、目線を合わせてもらえなかった。
予選が終わると、さくさく駅に向かった。早く出たので座って帰ることができて◎。
バルセロナ市内には4時少し前に到着。サンツ駅の一つ手前、パセージ・ダ・グラシア駅で降りて地下鉄に乗り換え、今日はゴシック地区を見ることにした。ジャウメ1世駅(カタルニア語では、JAは濁るのかな?)を出て、ピカソ美術館までは5分ほど。この近辺、非常に治安が良くなさそうな、いやーな雰囲気である。美術館以外は長居無用という感じ。ところが、ここで今回の旅行で初めて「日本人観光客」らしい日本人を見かける。かばんのたすきがけ+おしゃれでない帽子。ガイドブックを見ながらつるんで歩く姿。うーむ、これまでかなりさびしかったので同朋に会うのはうれしいけれど、やっぱり一緒にされたくない気がするなあ。格好悪いんだもん。そして、あの無防備さ…大丈夫かなあ?彼らは。
ピカソ美術館は、パリに出る前、スペイン時代の「若きピカソ」作品が中心。少年時代の習作や、「青の時代」の作品が展示してある。これを見てしまうと、絵を志す人は、筆を折りたくなるんではないだろうか?10代前半で、天才はすでに天才なのだとわかってしまう。彼の父親は、美術教師だったそうだが、ピカソ12歳だか14歳だかのときに描いた鳩の絵を見て、以後筆を折り、息子のサポートに徹したのだとか。そして、10代半ばでマドリードの王立芸術大学に特待生入学を許されたピカソは、「ここで教わるものはない」と1年足らずで中退、以後、プラド美術館の名作模写ばかりをしていたそうだ。 才能とは残酷なものだなあと思う。
もし、絵を本気で志そうと思う人、そして、その継続に迷う人は、ここを訪れるといい。 美術館のあとは、もうちょいまともな地区にあるカテドラルや王の広場を散策。 壁によりかかって、地図を見ていたら、中学校の生徒と思われる一団のいたずら少女に、「わっ!」と脅かされた。一人旅の常として、周囲から近づく人影には警戒していたので、驚くことはなかったのだけれど、ちょっといたずら心が芽生えて、こっそりあとを付けて、しばらく歩いた後で、後ろから「パン」と手をたたいて反撃したら、本当に驚いて飛び上がったので凄く面白かった。少女は悔しがり、周囲の少年どもが喜ぶこと喜ぶこと!少年とハイタッチをかましてしまった。観光客を馬鹿にしてはいかんよ、わはは。
その後、VISAの日本語サービスデスクにサッカーのチケットを受け取りに行く。今日の午後、電話をかけて、チケットを手配してもらったのだ。かなりいい値段で手数料はかかるが、電話一本でチケットを取っておいてくれるのだからすばらしく便利な話である。しかも、本来、平日の17:45で営業終了のところ、チケットの到着が18時15分ごろになるから、それまで開けて待っていてくれるとの親切さ。やっぱり日本人のサービスだなあと感心する。
ところが、やはりチケットをとるのはスペイン人だそうで、私が到着したら「今日はチケットをもって行けなくなった」という電話が入る。わはは。出た〜っ!ラテン約束。明日は土曜日だからサービスデスクはやってないじゃん! そういうのには慣れてはいないものの、旅行をするからにはそれなりの覚悟ができてるから、怒る気もせず、まあ、しょうがないかと思っていたら、サービスデスクの人ってば、律儀に「明日、僕ここに出勤しますから、申し訳ないんですけれど同じ時間に来ていただいても良いですか?」とのこと。「え、あした休みでしょう?」「ええ、もともと来る予定だったんで気にしないでください」 うひゃあ、サービスデスクの人って大変だなあ。と思いつつ、ありがたくお願いしてしまった。
その後、ホテル近くのスーパーでお買い物。オレンジやヨーグルト、ハム、チーズ、ミニサイズのカバ(スペインの発泡ワイン)、パン、ジュースなどを購入。明日の朝ご飯+お弁当にする予定。全部買っても10euro強、スーパーは安い。部屋に戻ったら、今日ももう出る気がしなくなってしまったので、買ってきたパンなどを軽く食べて、テレビを見て寝ることにする。
テレビで、F1の様子をやっていないかなあ、と思ったけれど、ヨハネパウロ2世が沿道を通るところ(今、マドリードに来ているらしい)を生中継で放映する映像ばかり。一日中説教の様子などをニュースで伝えていたところまでは、なるほどふむふむ、って感じだったんだけど、こりゃまるで、皇太子雅子様ご成婚みたいだ。法皇様、自動車の上部に防弾ガラスで囲まれた輿をすえつけられ、その中に一人まるで人形のように鎮座ましまして道路を進んで行く。いくつになったんだか知らないが、法皇様には人権が無いのかと、可哀想になってしまった。
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