猫の足跡
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2003年05月01日(木) 美しきイチゴのパスタ

 朝ご飯を食べて、チェックアウト。すっかり顔なじみになった食堂のお姉さんが「また来てね」と送り出してくれた。ほんとうにまた来るとは思ってないだろうけれど(また来ちゃうんだな、多分)。

 ボノ(地下鉄・バス回数券)が残ってしまったので、駅で地元のかわいい女の子を探して差し上げた。いきなり外国人から切符を渡された女の子はちょっとビックリ顔だったけど、「日本に戻るから」と言ったら、「そうなんだ、どうもありがとう。気を付けてね」と言って、ニッコリと受け取ってくれた。17〜8歳だろうか、可愛いっ!


 電車では不覚にも爆睡してしまい、あっという間にバルセロナ到着。まあ、隣は身なりの良いおばさんだったから問題はなかったけれど…。気をつけねば。

 今日からのホテルは駅から歩いて2分。便利な所にある分、治安がよろしくないかと、若干心配したものの、そんなに問題があるような場所ではなく、ちょっと安心。まあ、駅の表側だからかな。
 ホテル自体はまあまあ。ただし、部屋の広さや設備、部屋の感じはバレンシアに軍配があがる。ちぇ、3倍の値段なのに!と思う。町の「格」の違い+GP期間中という2つの要因が重なっているから仕方ないとはいえ、ちょっと悲しい。

 チェックイン後、少し部屋で休んで今日の行動計画を練った。
 ホテルの部屋は7階(日本的には8階)で、広いバルコニーに椅子を持ちだして座っていると、気持ちが良い。バレンシアもそうだったけれど、ホテルにはバルコニーがついているのが普通なんだろうか?とてもうれしい。
 ホテルから見るバルセロナも、地図で見るバルセロナも、バレンシアとは比べ物にならない大都会だ。せっかくなので、ちょっと奮発しておいしい食事をとるのもいいなあと考える。検討の結果、ゆっくりお昼を食べてからサグラダファミリア教会に行って、そのあと、ガウディ建築めぐり。夕方からモンジュイックの丘で町を一望することにした。

 ホテルを出ると、すぐ前に4軒ほどのレストランがあり(バルセロナはレストランだらけ)、その中でも2番目に高そうな店に入る。お昼のランチコース(飲み物・スープ・前菜・メイン・デザート・コーヒー)で20EURO。なかなか結構な値段ではあるけれど、都会でまともなものを食べようと思ったら、多分これくらいは払うべきなんだろう。

 スープは、ガスパッチョ風で、もっとクリーミーな非常に濃いもの。おいしいので、がんがん食べていたけれど、考えれば、十分におかずになってしまう量と質で、この後、大丈夫かと思う。

 前菜はアンディーブを敷き詰めた皿に白いパスタ、そこになんとイチゴ(!)、生ハム、赤いパプリカが飾られた美しいことこの上ない一皿。使われたお皿が、ガウディ風ブルーのカラータイル絵柄でこれまた綺麗。味は…ハッキリ言って、イチゴと生ハムは合わないし、イチゴとオリーブオイルも合わない。でも、この皿、イチゴがあることに意味があるんだろうから、全部許そう…美しさに軍配。

 そしてメインは、メルルーサ。
 例の給食魚をいったいぜんたい、スペイン人はどうやって食べるんだろうかと、注文した一皿だけど、脱帽!大変おいしかった。
 メルルーサのソテーに、海老と貝がつけあわせになっていて、魚のブイヨンと海老のみそなどで作ったと思われるこれまた濃ゆくて美味なソース。パンでしっかり皿までぬぐって食べないと失礼だなあ、と思ってしまうような、ちゃんとした料理だった。やっぱり、それなりにお金を出せば、いいものが食べられるのね〜と、感動する。一緒に付いてくる飲み物として注文した赤ワインも、ぬるくて(誉め言葉)口当たりがやわらかく、果実味と樽の香りがバランス取れていて、大変結構。リオハじゃなかったけど、おいしかったなあ、大満足。

 ただし!!!デザートはいただけなかった。
 「ヨーグルトか、***(聞き取れなかった)」というので、ヨーグルトを頼んだら、ダノンのヨーグルトが、プラスチックの入れ物のまま、皿に乗せられて出てくるなんて!ちょっと酷いんじゃありません?前菜の1/10でいいから気をつかってほしかったなあ。


 さて、食べ終わって、腹ごなしに向かう先はサグラダ・ファミリア教会。いまさら説明不要なこの有名な教会。地下鉄の駅も「サグラダファミリア」とそのまんま。

 さて、やはり都市の地下鉄は雰囲気が悪い。落書きがいっぱいだし、駅も地下道も、例えれば、新宿のガード下のよう。人の種類(民族だけじゃなくて、社会階層や乗車目的という意味も含めて)の幅が広くて、いわゆるあやしげな人もいるし。うわーん、バレンシアの、変な人がいないキレイな地下鉄に戻りたい〜。地下鉄内や駅・エスカレーターでのスリの手口などをいろいろ事前に仕入れていたので、結構緊張して、ドイツ人観光客の団体さんに紛れてみたりした。
 
 このバルセロナ、GP期間中であるためか、ドイツ人観光客が非常に多い。そこらじゅうでドイツ語を耳にする。大体、7〜8名の団体で、ガイドブックを手に、がやがやと騒ぎながら観光地に繰り出している。基本的にスペイン語は話さないし、英語も解さない…など何やらどこかの国の団体さんに近いかも。

 で、肝心の教会は…ぜんぜんできちゃいなかった。外側の柱が数本立って、玄関の表と裏ができているだけだ。何年かけているんだったか知らないが、「できていない」を売りにして観光のネタにしようってんじゃないのかと勘繰りたくなるくらいだ。

 中に入るのに8EURO、エレベーターで塔に登るのに2EUROとはいいお値段。そして、このあともさんざん悩まされるのが、いいかげんな順路設定…ってか、まともな順路がないのだ。入り口で渡されたパンフにある場所や、各見どころに設置してある説明看板に打ってある番号もぐちゃぐちゃ。一部合っていたり、間違っていたり。塔に登っても、降りてくる途中で降りる順路と、歩いて塔を上がる人の順路が入り混じり、矢印のとおりに進むと同じところに再び出てしまったり…。
 しかも、観光客の皆様は進むのが遅い上、狭い塔の階段で立ち止まるので、進まないったらもう。観光に来ているのにイライラしてしまった。ああ、良くない。
 2度同じ塔をぐるぐる回って、やっと脱出。一度は見る価値があるけれど、2度目はもういいやって感想。

 それにしても、日本人に会わない。バレンシアでは、とうとう一人それらしい人を見かけた程度だし、団体さんがうろうろしているかな〜と思ったサグラダ・ファミリアでも、誰も見なかった。どうしちゃったんだろう?

 スペインの地下鉄にある、BONOという仕組みは非常に良いと思う。10回回数券でゾーン内ならバスや国鉄でも利用可能。1時間半以内なら乗り継ぎもOK。観光客にとってはとても便利だ。バレンシアのときもそうだったように、ここでも活用できそう。

 その地下鉄に乗って次は、ガウディほかモダニスム建築群のある通りへ。バルセロナのすごいところは、ガウディ建築だけでなく、周囲も古い建物をきちんと残していること、道路をゆったりと作り、街路樹や遊歩道を配して美しい町並みを保っていることだ。国土の広さ、人口密度から言って無理は承知だけれど、この精神だけでも日本に持ちこめないかなあ。本当に、緑が多くてきれいな街だ。

 そして、カサ・なんとかという建築群は…。入場料がやはり高い。8EUROで談合でもしているのか?しかも、みんな入場券購入に20〜30分。いちいち待ってそんなに払うのもばかばかしい気がして、外から見るだけにする。一番見てみたいカサ・バトリョ(青いタイルなどで飾られた、海をモチーフにしたような有名な建物)は閉まっていたので、これだけでも日曜日に再挑戦の予定。
 
 次は、電車とケーブルカー、ゴンドラを乗り継いでモンジュイックの丘へ。ゴンドラで一緒に乗り合わせたのはイタリア人のカップル。フレンドリーで、英語で話し掛けてきた。イタリア人だからF1を見に来たのか(短絡思考)と聞けば、「ああ、そんなのもやってたねぇ」だそう。で、ゴンドラに乗るや否や彼のほうがそわそわしているので、何かと思えば「カン・ノウ スタジアムはどれかなあ!カン・ノウに行きたいんだ!」と大騒ぎ。どうやらサッカー狂の様子。で、彼女に「そっちじゃないわよ、こっち!山のほうを探さなきゃ」などと笑われている。「イタリア人なのに、バルサが好きなの?」と聞くと、「うん、ファンなんだ」。「そう、クライフェルトやサビオラなど良い選手がいるよね。私はバレンシアが好きなんだ、昨日までバレンシアに行って来たの」と、急にサッカー談義を始めてしまった(笑)。最後は「じゃあ、またカン・ノウで会おう!」でお別れしましたが、本当にまた、ばったりあったら面白いなあ。

 ゴンドラの終点は城跡。展望台と軍事博物館になっている。普段は何EUROか必要なようだが、今日はなぜかチケット売り場が閉まっており、自由に入れるようになっていた。ということは博物館も閉まっているのかと思えば展示だけはちゃんとされているこの不思議。

 バルセロナの眺めはなかなか。
 ちょっと神戸に似ているかもしれない。港があって、すぐ後ろに山があって、その間にきれいな街があって。
 ただ、眺めるだけだと、四方を見ても20分もあれば飽きてしまう。8時になってしまったし、暗くなる前に戻りたいところなので、バスに乗り、ふもとまで降りた。ふもとのエスパニョール広場の見本市会場?では、モーターショーをやっているようで、えらい賑わいだった。こちらの入場券も10EURO。流石にこれでは払う気にならないので、外からちょっと覗いてみると…。トヨタが正面真中の一番目立つところにでっかいブースを構えており、嫉妬まじりで腹が立つ。我が日産は、入ってすぐ右側のまあ良い場所だけど…だんぜん負けているんだもん。今、トヨタはこれまであまり強くなかった欧州市場に本気で力をいれているので、F1参戦だの、こういう見本市だの、CMだのと積極的に活動しているのだろう。実は、バレンシアのスポンサーでもあったりして、試合前に必ず、トヨタのでっかい牛マークがフィールドに敷かれるのだ、ちぇっ。ちょっとは遠慮しろって、この妖怪塗壁会社め(と思ってたら、ホントに塗壁がスペインに来ているらしい、げげげげげ)。

 さて、エスパニョール広場からホテルまでは歩いて帰ることのできる距離。周囲の治安はよさそうなので、薄暮のお散歩としゃれてみた。途中にかなりおしゃれなディスコがあり、気の早い人が集まり始めていた。こっちの人を見ていると、本当に個性豊かと言うか、幅が広いと思う。背の高い人から低い人、でぶでぶに太った人から、モデルのような抜群のスタイルまで色々なのだ。男女の好みやファッションの好みも人それぞれのようで、それぞれが、自分なりの格好をしているのが面白いし好ましい。
 日本では、「こういうのが良い」となったら全員がそれを目指してしまう傾向があるが、それには、民族的性格(いちずなところ?周囲に流されやすいところ)もさることながら、外見に差が小さいことも影響しているのだなぁ、と思う。

 で、全体の平均値で見ると、もはや日本人は自信もって良いのかもしれない。日本にいると、なさけないなあと思う自分でも、こっちではスタイルやお洒落度その他ひっくるめて、極端に見劣りすることはないのだ。ケツのでかさ、腹のでっぱり具合、腿のむちむち度合いなど、10代の子でもかなりすごい。もちろん、胸もあるんだけど。平均同士の比較なら、日本人が上じゃないかなあ。みんなおしゃれだから。
 うわーっていうようなきれいな子は本当に10人に1人か2人で、ただ、そういう子はもう、日本人じゃ、ぜんぜんかなわない、ダントツの美少女。
 確かに毎日あんな食事して、四六時中甘いもの食べていれば、たくましい人が多いのも納得だけど。

【日本に戻って、この部分要訂正と思った。やはり日本人、足が短いわ。最近の若いコは違うけど、平均値を取ると短い】

 というわけで、スペインでは大胆にもバックシャン宣言してしまう私。ほっほっほ。多少尻がでかかろうが、ちゃんと「くびれ」のある腹を持っていて、背筋が伸びていれば、結構見られるようで、後ろから(は)声をかけられることが多いのだ。ただし、前から声かけられる場合は、ほとんどないし、あっても学生さん風だけ…。ちぇ、なんなんだ、これは(笑)。

 ホテルに戻ると、もう結構くたびれていた(当たり前、今日もよく歩いた)ので、外に出る気がしない。近所のカフェで野菜サンドを持ちかえりにしてもらい、部屋のバルコニーで食べた。それはそれでかなり気持ちが良い。ただ、バルコニーに出たら、バレンシアを思い出してしまい、ちょっと感傷にひたった。


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