ブックス
DiaryINDEXpastwillaboutbk1



2002年05月13日(月)   朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away/森博嗣


Vシリーズ第9弾です。
研究所の地下密室で発見された死体。他殺も自殺も不可能な状況の中、どのようにして彼は死んだのか。
今回の話は、今までとちょっと違う感じがすごくしましたが、私だけでしょうか。こんなに登場人物が自分の背景とか内面とかを語るのって、森氏の作品では珍しいのでは。こういうことを語らせることもできるのか、と素直に感心してしまいました。このシリーズは人間関係にスポットをあてている、と氏自身が言っているだけあります。どんどん主要人物4人の関係が詰まっていますよ。本当にこのままいくと、次作でこのシリーズ終わってしまうかもしれませんね。
作中で死の価値について語られるのですが、珍しくこの考え方には納得。今までもいろいろな物事の考え方が語られていましたが、どれも「そういうのもありか」と思う程度だったのに、今回は納得。自分の考え方とやや近いかも。
ところで、ずーっと気になっている、紅子さんの息子さん"へっくん"の本名、イニシャルはS.Sらしい。これ見て"へっくん=犀川創平"説が再びかなりの勢いで浮上したのですが…。シリーズ完結までには明かされるのでしょうか。今回が、時系列的には、おそらく「六人の超音波科学者」の後に続く話なだけに、前作「捩れ屋敷の利鈍」の時系列が微妙にトリックっぽいですよね。そう考えるとますます"へっくん=犀川創平"説が怪しいのですが、ちゃんと両シリーズ読み返していけば、真偽の程がわかるのかもしれません(今はできませんが、いつかしてやる)。



「人間なんてね、いつも死にかけているんだよ」(略)
「生きていることが、つまり、死にかけている状態なんだから」


森博嗣:朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away,p.41,講談社.






ゆそか