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講談社文庫 宮本輝 「命の器」より - 2001年08月20日(月)

学生のころ、何かの機会で明治大学の日本文学の先生が
朗読してくれたのでよく覚えている。
文庫本で2ページくらいなので立ち読みしてもすぐなんですが、
引用します。
気になったら、立ち読みしてみて下さい。

「運の悪い人は、運の悪い人と出会ってつながり合っていく。
やくざのもとにはやくざが集まり、へんくつな人はへんくつな人と親しんでいく。
(中略)
じつに不思議なことだと思う。”類は友を呼ぶ”ということわざが含んでいるものより、
もっと奥深い法則が、人と人との出会いを作り出しているとしか思えない。
どうしてあんな品が悪い、いやらしい男のもとに、
あんな人の良さそうな美しい女が嫁いだのだろうと、
首をかしげたくなるような夫婦がいる。
(中略)
彼と彼女は、目に見えぬその人間としての基底部に、
同じものを有しているのである。
(中略)
抗っても抗っても、自分という人間の核を成すものを共有している
人間としか結びついていかない。その恐さ、その不思議さ。
私は最近、やっとこの人間世界に存在する数ある法則の中のひとつに気づいた。
「出会い」とは、決して偶然ではないのだ。
でなければどうして、「出会い」が、一人の人間の転機となり得よう。
(中略)
どんな人と出会うかは、その人の命の器次第なのだ。



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