中里介山原作の大長編小説「大菩薩峠」(しかも未完)の映画(市川雷蔵主演)を、レンタルDVDで見た。 原作は青空文庫で最初の所だけ読みました。 主人公・机竜之介が最初っから訳もないのに人斬りしてて、ドビックリ。
で、映画ですが、原作にほぼ忠実と思われます。 竜之介の行動が矛盾だらけで、もう突っ込み入れっぱなしで見てました。 竜之介は道場の息子で、神社の奉納試合で宇津木って男と対戦する事になってた。 その試合前に宇津木の妻のお浜(まだ若い頃の中村玉緒さんだよっ!)が竜之介の元を訪れて、「貴方様のが強いので、試合では手加減して欲しい」って頼むんだけど、それを無視してお浜を犯っちゃいます(・・?)。 それがダンナにばれたお浜は離縁されちゃうし、奉納試合で竜之介は宇津木を殺しちゃうしで、それを怨みに思った宇津木の道場の門人に竜之介は襲われるけど、竜之介はメチャクチャ強いんで門人をブッ倒し、お浜を連れて江戸に逃げます。 そこから竜之介の転落の人生の始まり始まり〜、って自業自得だけどさっ。
江戸で所帯を持って子供も生まれた二人だけど、夫婦の仲は最悪。 それでもって、竜之介は何故か新撰組の芹沢鴨(根岸淳さんだ。ペギー葉山さんのダンナさんだ)と仲良くなってるし、宇津木の弟からは果たし状を貰っちゃうしで、窮地の状態になっちゃった彼は煩い妻をブッ殺し、京に上がる芹沢たちの後を追う。勿論、果し合いにはトンズラです。 一般的に見れば、信念はないし気に入らないと人を殺しちゃう竜之介は最低男です。 がっ、市川雷蔵様が演じちゃってるんで、そんな最低男でも品があるんだよ。しかも美しい…。 仕方ないよ〜。雷蔵様が演じちゃってるんだから…。
原作がニヒリズム溢れる(らしい)不条理な設定なんで、痛快娯楽時代劇ではありません。 ちょっと怪奇っぽくてクライムノベルっぽくて心理小説っぽいです。 映画の最後の方で、さすがの竜之介も罪の意識からなのか?、錯乱するんだけど、そこに宇津木の弟が剣を向けてきて、いい所で第二部へ続く、でした。 続き、あるんかい!
中々陰鬱な雰囲気だけど、結婚した女性はちゃんと眉をすり落とし鉄漿をしていたのが良かった。 今の時代劇って、既婚女性でも眉はあるし、歯は白いしね。 あと、森の場面のセットが幻想的で綺麗でした。 まだ日本映画界に金があった頃だから、中々豪華でしたワ。 陰鬱な映画だけどなっ。
雷蔵様の美を堪能するのが一番いいのでは?と思った映画でぇした。
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