 |
 |
■■■
■■
■ 過去の断片
入学式のシーズンです。 知り合いの女の子が大学の入学式に参加しました、というメールをいただいた。
「入学式」という言葉が、奥底に沈んでいた記憶を呼び戻す。 私が大学に入学したとき、当時同居していた4つ違いの兄が保護者として 同伴してくれた。ふたりして正門をくぐり、桜並木のアーチを入学式会場へ 向かって歩いてゆくと、両側からちょっと強引なサークルの勧誘を受けた。 両手にはみるみるチラシが積まれてゆく。
ふと隣りを見ると、兄の手にもチラシがどんどん押し込まれてゆく。 「やっぱり」とふたりしてにやにや笑う。 「オレもまだまだいけるよなー」と嬉しそうに兄が言っていたのを思い出す。
あの頃、兄妹で三鷹のマンションに住んでいた頃、 まだ未来がとても素敵なものに思えた。
可能性はどこまでも深く続いていて、過去は遠くへ破棄したつもりでいた。 でも、今ならちゃんとわかる。 時間と記憶は甘美で残酷な代物だということを。
2001年04月04日(水)
|
|
 |