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■ 雨の夜
いつから降り出したのか、会社から出ると外はかなり強い雨だった。 空調の効いていない電車の中で、じっとりとまとわりつくような湿気を吸うと、 ひどく気分が悪くなった。早く吉祥寺に着かないかと、何度も唾を呑み込んだ。
雨の夜は嫌いじゃないけれど、雨の日の電車は最悪だ。 呼吸するたびに体の中に無数の黴が繁殖してゆくようで吐きそうになる。
傘をさして自転車置き場までくると、サドルにビニール袋がかぶせてあった。 顔なじみの駐輪場のおじさんが、夜に雨が降ることを知って気を利かせて くれたのだろう。雪の日もそうだった。冷たい雨の日も。
翌朝にありがとうを言うと「おしりが冷たくないように」と 決まって照れ笑いを浮かべる。
私はいろんな人に守られて生きているんだな、と実感する雨の夜。
2001年04月18日(水)
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