月のシズク
mamico



 空っぽの窓

昨日、仕事から帰ってくるときにふと気づいたのだが、隣人が引っ越していた。
何度か顔を合わせたことがあったけれど、気の弱そうなサラリーマンだった。
ずっと前からいなかった気もするし、つい昨日までいた気もする。

とても静かに生活する人で、生活音(洗濯機の音とか、クローゼットを開ける
音など)が全く聞こえなかった。彼が住んでいたのは、ちょうど角部屋だった
ので仕事から帰ってくるとカーテンの開閉や薄明かりが点灯しているかで
在/不在を確認できた。窓から見える部屋はいつも整頓されていた。
でも今見えるのは、空っぽの白い天井だけ。
家主のいない、白い箱。

すごく不思議な気分だった。
こんなふうにして、人はあっけなく存在を消してしまうのだろうか。
元隣人がどこかで幸せにのほほんと暮らしていることを願おう。





2001年06月26日(火)
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