月のシズク
mamico



 夏の音

夕方、カーテンを半分閉めてうとうとしていたら、澄んだ音が響いてきた。
チリーン、チリ、リーン

ベランダにつり下げた風鈴は、先週末に銀座の風鈴屋さんの屋台で買ったものだ。
正しい呼び方は知らないけれど、風鈴をたくさんぶら下げて、白足袋のおじさん
が歩いて売るあれだ。会社の同僚たちとほろ酔い気分で東京駅に向かう途中に
聞こえた風鈴の音に、私の歩みは完全に止まってしまった。

そんな私を見て呆れた(哀れに思った?)上司が気前良く買ってくれたものだ。
おじさんに耳元で鳴らしてもらったその音は、少し低めのDis(レ#)だった。

風が揺らす風鈴の音は、気の早い夏の終わりを告げているようでせつない。
あまり関係ないけれど、詩は半身浴をしながら読むのに適していると思う。
英語の詩も日本語の詩も、もちろん声を出して読むのだけど。



2001年08月05日(日)
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