月のシズク
mamico



 紺色のセーター

連休に入ってから、空気がきりりと冷え込んできた。
衣替えをしなくっちゃ、とクローゼット用の防虫剤やら湿気取りなんかを買いに行った。
ジャケットを着込んだというのに、日陰に入ると身震いしてしまうほど寒い。

せっかくなので、いつもひいきにしているNOLLEY'Sに立ち寄る。
店内はすっかり秋冬物になり、カシミヤ混のカーディガンやライナー付きの
コートなどが並んでいる。隅から隅まで秋の色、秋の匂い、秋の気配がする洋服たち。

こっくりとした紺色のセーターに指で触れてみる。
細かく織られたウール100%のセーター。襟が後方だけタートルネックのように
なっている。なじみの店員さんが「こんにちは」と近寄ってきたので、試着
させてもらう。鳥肌を立てていた肌が毛糸に包まれてほっくりしている。
即決、即買い。

夜、衣替えをしていて気付いたのだけど、私のワードローブはほとんどが、
白、ベージュ、黒、グレイ、紺で構成されている。中でも紺色のセーターは
どれも似通っていて、自分でも呆れてしまった。

よく母は「もっときれいな色の服を着なさい」と小言を言ったけれど、
私は紺色を着ているときがいちばん落ち着く。
精神状態がほどよく安定してくるのだ。

私にとって紺色の服というのは、秋の夜に聴くピアノのような
心の鎮静作用があるのだと思う。



2001年09月23日(日)
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