月のシズク
mamico



 眠り姫くん

会社に始終眠り続けている男性社員がいる。
部署が違うので話したことはないが、同じフロアなので視界に入る。
何しに来ているのだろう、と不思議になるくらい、よく眠る。
私は勝手に彼のことを「眠り姫くん」と呼んでいる。

私が感心してしまうのは、彼の眠る姿。
激しくガクガク揺れるわけじゃないし、イビキをかくわけでもない。
表情も姿勢も崩さず、心持ち頭部を垂れて、軽く目をつぶっている。
そうして、品のある横顔で、すやすやと静かに眠っているのだ。
何時間も、ときには朝から晩まで。

ほんとうに、何をしに会社へ来ているのだろう、と首をかしげたくなる。
夜中に突然眼をさまし、機械のようにバリバリ稼働し始めるのかもしれない。
あるいは、眠りながらマシンに念力を送って、すべてを解決しているのかもしれない。
私には到底理解できない、未知の能力があるのかもしれない。
すべては、彼の眠りの中に・・・・?

--------------------

なんてことを書きながら、実は私の脳裏にも、
もやもやした睡魔が張り付いている。

春が近いせいだろうか。最近、とかく眠りが近い。
一時は不眠症を患っていたというのに、なんだ、この落差は。
今日もチェロを弾きながら眠りそうになった(録音していたというのに!)。
鰯の内蔵を包丁でえぐり取りながら、瞼がゆっくり下りてきた(危ないじゃないか)。
本なんてまともに読めない。文章もまともに書けない(言い訳?)。

眠り姫くんのように、すやすやと今すぐ眠りたい。
最近のわたくし、常時「おやすみ3秒モード」でございます。



2002年03月09日(土)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加