月のシズク
mamico



 男トモダチとの距離

昨日の午後のこと。

DVDプレーヤーやらパソコンやらテレビやらデジカメやら、
たくさん電化製品が見たくなって(というか欲しくなって)
街の大型電器屋さんへ行くことにした。
機械に詳しい男ともだちをひとり誘って。

4月下旬並と言われる好天のもと、トコトコとふたり並んで歩く。
「あのさ、そのコートとジーンズ、合わない気がする。なんかほかにないの?」
私はベージュのスプリング・コートに、色褪せたジーンズ、スニーカ姿だった。
「それに、なんか、髪、ボサボサしてるよ」とも言われる。
一応、ヘア・クリームを塗って簡単にスタイリングしてきたつもりだ。
はいはい、すみませんねー、と私は赤いサングラスの奥から彼を少しにらむ。

確かに奴はいつ会ってもちゃんとしている。
センスのよろしい服を着て、髪はいつもふわりと品良く整っている。
無精髭を生やしっぱなしのこともないし、爪だって短く切り揃えられている。
そして、わたしにいつもありがたい助言をくれる。

こんな男ともだちとの距離は、なかなか居心地が良い。
家族のようになれなれしすぎず、恋人のように手厚くかまってくることもない。
思ったことを、感じたことを、その事実を、何ひとつ歪曲せずに言ってくれる。
本当に必要なときは手伝ってくれるし、放っておいて欲しいときにはその通りにする。
適度な節度。常温に保たれた図書館にも似ている。

女ともだちも、もちろん大切だ。
でも、私は正直に言うならば、男ともだちといる方が断然楽ちんである。
議論好きで、妬みなしで、さっぱりしていて、次の約束をしなくていい。
男と女の差は、トモダチというカテゴリの中で最も鮮明に知ることができる。




2002年03月11日(月)
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