月のシズク
mamico



 カットモデル

吉祥寺にはshimaやらモッズ・ヘアやら、相当数の美容院がひしめき合っている。
ちょっとした美容院激戦区かな(わたしは電車にのって下北沢まで行きますが)。

そういう理由もあって、遅い時間帯の電車で帰ってくると井の頭線の構内には、
美容師の卵さんたちが眼を光らせてエスカレータを下りてくる客を選別している。
彼(女)たちは、仕事が終わってから、こうしてカット・モデルを探すのだ。
カラーのテスト、カットのテスト、パーマのテスト、スタイリングのテスト。

いくつものステップをクリアしないと、お金をもらって
お客さんの髪を触ることはできない。
どこにでもあるシビアな世界。

で、このわたし。彼(女)たちに声をかけられる回数はままある。
今日は青いコートを着た、けっこうチャーミングな女の子だった。
私の前にたくさんの人たちに断られたのだろう。
ちょっと疲れた顔をしていた。

でも、わたしも「ごめんなさい」を言ってお断りする。
こういうときに、ぐらりと刹那的な情に流されてはいけない。
私は、扱いが丁寧で手慣れている人、信頼している人にしか
髪を触れられたくない。雑な扱いをされると、哀しくなってしまう。
「飛べないの雛鳥」のことをふと思い出して苦笑する。
もちろんオレンジ髪もご勘弁願いたい。

夜道を歩きながら思う。
もしかして、声をかけられる頻度が高いのは、このボサボサ髪のせなのか。
友は「天然無造作ヘア」と言ってくれる。裏を返せば、ボサボサってことだよな。
やはり寝癖を利用してスタイリングしようとする姿勢が間違っているのか。

せめて彼女たちが、苦労してでもカッコイイ美容師さんになれるよう、祈ろうか。



2002年03月12日(火)
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