月のシズク
mamico



 平日の顔

水曜は、Laboの日+歯科医の日。
午後、ちょっと抜け出してふたつ先の駅にある、腕のいい歯科医に行く。
院長先生は30代後半の茶髪ガングロ兄さん。白衣がキラリとよく似合う。
診察券の裏を見たら、去年の7月から週に一度の割合で通っているようだ。
歯科医通いはすっかり生活の一部になってしまった。

暖かくなってからは、井の頭公園駅で下車している。
たっぷり一駅分の広さを保持する公園を、ぶらぶらと横切る。
平日でも池にはボートが出ていて(ここでボートに乗ったカップルは別れる、
という噂がまことしやかに話されているが、私は乗ったことはない。
それでも恋人とは別れることもある。ま、そういうものでしょう)
池にせり出した桜の蕾がぷっくり膨らんでいた。もうすぐ開花かしら。

気持ちがよかったので、公園のそばのカフェに寄る。
窓辺の喫煙席には、平日の顔ぶれ。年齢層が高い。
私の隣りでは、パイプをくゆらすモバイルおやじが小説を執筆中。
そんなにフォントを大きくしたら、内容丸見えじゃん。
「西南大学の事務所に勤務する奈津子を、須崎はかなり気に入っている」
もしかしてこれはエロ小説の流れなのか、と横目で読んでみる。

いつも眠ってばかりいる牛猫(牛柄の模様をした巨大猫)が、テーブルに乗って
私のカップをのぞき込む。私もいっしょになってのぞき込む。なんかアルかい?

ああ、春の空気がここに停滞している。
平日の怠惰な午後、タバコの煙がその事実をしかと証明する。


2002年03月13日(水)
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