月のシズク
mamico



 春の病

朝、目覚めたときから、夜、眠りに堕ちるその瞬間まで、
コンスタントに睡魔が私を襲ってくる。同じ密度で、同じ速度で。

足元からずりずりと、というよりは、後頭部に白い膜が張るかんじ。
身体が重だるく、自然と瞼が垂れ下がってくる。
食べるのも、歩くのも、考えるのも、しんどい。
私の中で眠りが、黴のように増殖してゆく。

毎年、桜が咲く頃に必ず訪れる、春の病。
抵抗力もなく、思考力も低下し、倦怠感に包まれる。
まだ、冬の眠りから目覚めたくないのだろうか。

夜の闇に、白い桜がぽんぽんと咲いておりました。
折り紙で折った小手鞠のような白い花が、風にゆらゆらと揺れる。
夜の桜がいちばん好きだ。
春の病を麻痺させる、妖艶な白い女よ。




2002年03月18日(月)
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