月のシズク
mamico



 停電リセット

昨夜未明、プツッという小さな音とともに闇が幕を降ろした。
私は眠りの中でその音を聞き、がばりとベットから身を起こす。
完全な闇が---それは「完全な闇」としか表現できない---闇があった。

数十秒間、闇は部屋の中にじっとうずくまっていた。
そして、チッという小さな音とともに、部屋のあちこちに薄明かりがついた。
コンポの、ビデオデッキの、湯沸かし器の、電話の、デジタルな光が戻る。
すべてリがセットされ、そこには時間を示す数字が消滅していた。

そして朝。
私は途方に暮れる。
部屋中を見渡し、時間を探す。
かろうじて、携帯電話のバックライトが現在時刻を記す。
ふたたび、がばりとベットから身を起こす。


遅刻一歩手前




2002年04月19日(金)
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