月のシズク
mamico



 雷雨

夕方、東の空がぴかっと光り、大粒の雨が落ちてくる。
ぼたぼた、ぼたぼたとコンクリートに雨粒の痕を作る。
そのうち、ざざざざざざっと横なぶりの雨が窓に叩きつける。
ぴかっ、ぼたぼた、ざざざざっ。

それを見て(聞いて)、私がしたこと。
ファイルのバックアップを取り、コンピュータの電源を落とす。
インスタント・コーヒーを淹れ直す。
窓辺の椅子に坐り、雨を眺める。

世界が雨に濡らされる姿を眺めるのって、なんだか刹那的でいい。
ざぶざぶとやぶれかぶれに降られる光景は、思い切りがよろしい。
子供の頃、長靴を脱ぎ捨てて、雨の中を裸足で家に帰ったのを思い出した。
祖父母は叱ることも、呆れることもせず、あははと笑っていたっけ。

ああいうことを、何も考えずにもう一度してみたい、と大人になった私は思った。
そんなわたしを見て、あははと笑ってくれる誰かが欲しい。



2002年06月05日(水)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加