月のシズク
mamico



 「恋とは堕ちるもの」

「恋とは、落とすものでも、落とされるものでもなく、堕ちるもの」

おぼろ豆腐と串焼き、それに冷酒が美味しい吉祥寺のダイニングで食事を
していたとき、不意に隣からそんなことを言われて、どきっとした。
どきっとしたのは、もちろん口説かれていると早合点したからとか
そういうことではない。反発しながらも、結構素直に「そだよな」と
同意を感じてしまったから。

計算高く恋愛戦に挑むのは、そ奴が既にどこかの時点で「恋に堕ちて」
しまった相手との位置関係を、確固たるものとする為だろうし、
「なんかカレに落とされちゃった」といぢらしく恋の罠にはまったように
公言するのも、ジブンがあっけなく堕ちてしまった事実をしおらしく隠蔽する
ためだろう。なんだかんだ言っても、恋は理屈じゃないらしい。

メンタルとは無関係な場所で、人は不意打ちを喰らうように恋に堕ちる。
支えるものもなく、加速度的に落下するので、そのスピードは凄まじい。
そして、自分でも操作不能になるらしい。ほほう。堕ちてみたいものです。


2002年07月26日(金)
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