月のシズク
mamico



 ホれた、ハれた

色恋沙汰の類というものは、愛憎渦巻く一大イベントである。
そりゃまぁ、ハッピーエンドも、アンハッピーな結末もあるけれど、
ホれた、ハれた、というココロの動揺は、日常を色つきにしてくれる(と思う)。

しかし、互いの思惑が入れ違っていたり、度を越してしまうと、
セクハラ訴訟だの、ストーカ事件だの、心中穏やかではナイ。
発端は、つきつめると、甘やかな恋心だったハズなのに、だ。

なんて、ガラでもないことを書いているのは、さっき、女の子から
そのテの話を持ちかけられたからである。泪ながらに、切々と。
性格的なものか、アタシが男前すぎるのか、しばしば恋路の相談を受ける。
そして、乙女心と野郎心の両面を(意図せず)のぞき見ることができる。

で、恋のかけひきほど厄介で興味深いものはないと確信している。
だって、数値やデータはおろか、私たちにいちばん身近なコトバですら、
愛憎渦巻くココロに浮遊している気持ちの破片を、掴まえることはできない。
何とか苦労して言葉に置き換えてみたところで、それがその形状のまま
相手に伝わるとも限らない。まったく、これほどもどかしいことはない。

なので、あれこれと、相手の心中を想像するのである。
想像が想像を喚起し、新たな想像を生む。そう、これをイタチごっこ、
または、ひとり遊び、と云う。自分の身体から何かを出さないことには、
その想いは、なーんにも伝わらないのである。わかるかな?

恋に泪する乙女は、けなげで、いじらしい。
でもね、たとえ言葉が無意味だと思っても、行為することには意味があるんだよ。

2003年05月14日(水)
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