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■ Still Life
写真には、不思議な力がある。 人の目にさらされる状態、たとえば展示場の壁にピンで貼られるだけで、 アルバムにしまい込まれていた時よりも、しずかで強い主張をし始める。 わたしの勝手な妄想かもしれないけれど。
夕方、明日(23日金曜)から開催される「かめ吉」写真展の設営があった。 10名の参加者が持ち寄った、大小さまざまな作品を、小さなカフェの壁に 展示した。テーマは「吉祥寺」。それぞれの視点で切り取られたデジカメ 画像を、それぞれのやり方で展示する。
一枚、二枚、三枚と、白い漆喰で塗られた壁に貼り付けてゆくたびに、 わたしは妙にそわそわした気持ちになる。静物であるはずのソレらが、 どうしても、なまめかしい視線を放ってくるように思えたのだ。 思えた? いや、違う。肌でそう知覚したのだ。
夜もふけてきた頃に、すべての作品展示が終わった。 ベランダで煙草をすいながら、ガラス越しに、整えられた室内を眺める。 やっと視線から逃れられた。正直、ほっとしたような気分をあじわう。
もしかしたら、写真を撮るものは、そこに、とらえようのない気配を感じたから、 はっとして、シャッターを切ってしまったのかもしれない。Still Life. 白い部屋には、静かなる生命の気配が、そこかしこに漂っていた。
2003年05月22日(木)
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