幸福と 科学   ...ごとうみちこ

 

 

東京1人旅・1日目 - 2005年11月18日(金)


羽田からモノレール

いろいろなしがらみを振り切って、正午に羽田空港到着。11月とはいえ、千歳から着いた身としては羽田空港は暑く、すでに毛穴が全開です。つい、ふと、携帯の電源を入れてみたところ、ひっきりなしに「着信お知らせ」が、ぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶと入りまくり、気が遠くなりました。飛行機に乗っている間に取材先やクライアントから留守電が入りまくっていたようです。ひー。とりあえず面倒なことは早めにすませておきたいので、羽田から札幌に電話をしまくり(どれもたいした用じゃなかった)、怒ってる人が誰もいなかったことに安堵しつつ(どんな仕事ぶりだ)、3年ぶりくらいにモノレールに乗ります。京急という手もあるけど、なんとなくモノレールです。モノレールから見える、するすると流れる独特の眺め。大井競馬場の厩舎が見えたあたりで、「ああ東京だ」といつも思います。どこかのオフィスビルの窓際に、きまじめそうな顔つきをした40歳くらいの女性が、きまじめな表情で外を眺めていたのが見えました。ちょうど今、お昼休み終盤くらいの時間です。あの人はどんな気持ちで仕事に戻るんだろう。などと想像している間にも、窓の外はもう別なビルが見えています。誰かの日常さえも、今の私には非日常。旅行者の特権です。


上野だ

さて。上野に着きました。東京の駅はわりと表示が分かりやすいと思うので、右も左も忘れていても今のところ移動はいたってスムーズです。荷物をロッカーにつっこんで、上野公園へ向かいます。平日なのに、すごい人です。久々に飛行機に乗ったせいか、なんか気持ちがざわざわしたまま、公園の中を歩きます。どこかでお昼を食べたいな、さっき駅前で見かけたプロントに入ってしまおうかなと考えていた矢先、偶然、東京文化会館というところの前に出ました。「茶廊 響」という名前のカフェがあるようで、ハヤシライス480円とあります。…いいじゃない。とりあえず試しに建物の中に入ってみると、2階には「精養軒」という洋食レストランが入っているようでした。確かここ、有名店じゃなかったっけ。と考えつつ覗いてみましたが、お昼時を外れているにも関わらず入り口の階段が行列になっていたのであきらめ、さっきのカフェで食べることにしました。これが、正解でして。というか、そのカフェも「精養軒」が出店しているところでした。オープンテラスで公園の緑を眺めながら、極上のハヤシライス(ミニサイズ、紙カップ入り)を食べ、熱いレモンティーを飲んでいたら、ざわざわしていた気持ちがようやく落ち着きました。東京に歓迎された、と思いました。ところでこの「東京文化会館」の建物は、今思い出してみると非常にかっこよく、ダイナミックで、ロマンチックで、私のような通りすがりの人間でもさっと入れるような気軽さもあって、私はとっても気に入ったのですが、なぜか写真を撮りわすれました。ふだんあまり建築物にそのような感情を持つことがないので、こういう経験は貴重です。写真撮るんだったな。今度はここで音楽を聴いてみたい。

茶廊 響(Hot Pepperサイト)


国立博物館

気を取り直して、今回の旅の目的である「北斎展」を見るべく国立博物館へ。その国立博物館は私の想像を超えたかなり壮麗というか荘厳というか、な建物で、信号の向こうにその姿が見えたときなぜか私の心は若干引きました(りっぱ過ぎて)。正門の脇に設置された「券売場」にはずらりと人の列。あとで気が付いたんだけど、北斎展公式サイトの携帯待ち受け(画面を見せると割引になる)をダウンロードしといたにも関わらず、ここで掲示するのをスッカリ忘れていたとです。葛飾北斎は、大好きな絵を描きまくって描きまくってあの時代に90歳まで生きたというトンデモナイ人です。まるで生の権化みたいな人。北斎の肉筆画や版画の数々を見ながら、なんとなくこの人は「デザイナーっぽい人だな」と思いました。物との向き合い方とか、「今度はこういうものを試してみた」という“構築してる感じ”が伝わってくるところが、デザイナーっぽいです。帰りに、実家の父用と自分用に重い重い図録を2冊購入しました。本当は買ったらすぐ郵送しようと思ったのですが、郵便局が見つからず(よく考えたらコンビニでよかった)、荷物と一緒に夜まで持ち歩く羽目になりました。札幌ではこんな元気ありません。

北斎展


浅草・雷門・神谷バー

その後、上野から浅草へ。楽天で予約した駒形のビジネスホテルにいったん荷物を置き、夜は知人のマフさん(絵本作家・実家が北海道)と数年ぶりの再会。昼間に電話したとき、「浅草に泊まる予定で」というと「じゃあ雷門で待ち合わせて、神谷バーに行こうか」とささっと提案してくれました。よく私のツボをご存じで。神谷バーは聞いたことがあったのですが、想像していた「うす暗いバーっぽい感じ」とはまったく違っていて、むしろ食堂っぽい賑やかな店でした。オーダーも食券制です。ほぼ満席状態だったので、ものすごく派手な身なりのおばあちゃん2人組と相席に。おばあちゃんの片割れは、まぐろの赤身を肴に「電気ブラン」をおひやに少しずつ溶かしながら飲んでいました。常連なのでしょう。ここで食べたものはモツ煮も蟹と大根のマリネも串揚げもどれもこれも美味しくて、浅草でごはんを食べるならここだと思いました。これは下戸の発想ですね。バーなのに10時閉店というのも潔いです(浅草の夜は早い)。その後マフさんと別れ、ホテルへ。東京で5000円台で宿泊できたにしては上出来の宿です。探そうと思えば3000円くらいの宿もあったのですが、1人であることを考えるとちょっと凹みそうな雰囲気を感じたので却下。このへんの基準は人によっていろいろでしょう。そういえば駅からホテルの間にはどじょうで有名な「駒形どぜう」がありました。通るたびにゴボウを出汁で煮たようないい匂いがしていたのですが、お値段が外に書いてあるような店ではないので、躊躇して入れませんでした。あとで調べてみたら2000円くらいあれば食べられるようです。もし今度行くことがあったら入ってみよう。

神谷バー
駒形どぜう


つづく。


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