東京1人旅・2日目(後編)+3日目 - 2005年11月20日(日) ハウス・オブ・シセイドウ 新橋に来た目的は、銀座に新しくできたという「ハウス・オブ・シセイドウ」でやっている「アール・ブリュット展」を見るためです。資生堂のチラシによれば「美術教育とは無縁の人々が内的衝動にかられて自発的に作る美的所産物」とあります。すべてがそうだとは限らないのですが、精神的に穏やかでない方々が穏やかでないがゆえに作ったアート作品という言い方もできます。出展作家の有名なところではヘンリー・ダーガーなど。偶然にも昨日会ったマフさんが「見てきた!面白かったよ」と言っていたので、行くことにしました。無料だし。ハウス・オブ・シセイドウはさすがの美麗な建物です。高級化粧品店みたいです。資生堂だからあたりまえだけど。 展示は1〜2階に分かれていて、けっこう見応えがありました。ダーガーの大きな作品があり、鼻息がかかるくらい近くで見て気づいたのは「コラージュ」だということでした。じっくり見たことがなかったので知りませんでした。そして色がきれいです。とても。この展示には「それぞれどういう背景の人で、どういう経緯で精神に異常をきたしたか」が1人ずつ説明されたパンフレットがあるのですが(一度に全部読むといたたまれない気持ちになる)展示の順番とパンフの掲載順がまったく合ってなくて、絵と照合しながら読むのにひどく難儀しました。ふと後ろを見ると、どこかのお嬢さんもパンフレットをめくったり閉じたり同じようなことをしているようでした。ほらな。そして何となくトイレに入ったのですが、これまた美麗で、誰もいなかったので思わずセルフポートレート(?)を撮りました。照明もバッチリです。さすが資生堂のトイレ。 ■ハウスオブシセイドウ ■「Passiion and Action−生の芸術 アール・ブリュット」展 銀座を歩く その後、せっかくだから資生堂ギャラリーも探してみよう。と適当に歩き出したところ、たまたま銀座グラフィックギャラリーの「祖父江慎+cozfish展」の前を通ったので入りました。が、館内はあまりにも大盛況で、しかも展示してある本が読めるようになっているのでギャラリーは全員立ち読み状態。普通に。さっきまでの静粛とのギャップもすごく、なんだか頭が切り替わらずにわりとパッパと見て出てきてしまいました。日が違えばもっとじっくり見たかもしれません。そう考えると「日が違えばあの人のこと好きになっていたかも」みたいなことも実はあるのかもしれません。人生はタイミングとバランスですね。その足でなんとかたどりついた資生堂ギャラリーでは、渡辺剛という人の写真プリント展をやっていました。国境のあっち側とこっち側から撮った写真を並べてみる、というコンセプトの展示だったのだけど解説が少なく、写真を見ただけではそのことにまったく気づかなかったので、もったいないと思いました。 その後、さすがに疲れて小休止。こうなったら資生堂づくしをキメようと、資生堂パーラーを覗きましたが本店は混んでいたので、松坂屋の7階にある資生堂パーラーに入り、コーヒーとケーキのセットを食べました。思いっきりフロア中央の四角いテーブルに1人で通されたので心もとない感じでしたが、周囲はお年寄りや家族連れが多くアットホームな雰囲気でした。隣にいたじいちゃんばあちゃんグループは、5人とも全員同じパフェを食べていました。私が頼んだセットのチーズケーキはかなりおいしかった。コーヒーも好みの味で、疲れもとれました。そのあとなんとなく屋上へ行き、写真を撮ったりペットショップを冷やかしたり(札幌にいるときとやっていることが変わらない)、通りに戻って偶然見つけた山野楽器でジャズライブを冷やかしたり、これまた偶然見つけた博品館でトミカの限定モノを冷やかしたりしました。意外にも銀座は私でも楽しめる街であることを知ったよ。あ、そういえば月光荘に行き忘れました。行ってみたかったのに。 ■月光荘 月島もんじゃ 今日は、十年来の友人タマちゃんの家に泊まる予定。で、私の希望により月島で待ち合わせて「生まれて初めてのもんじゃ」に付き合ってもらうことにしました。月島の駅でタマ夫妻を待っていると、改札を出たところに赤い服の人が見えました。タマちゃんです。ダンナ様も連れ立って、「もん吉」というもんじゃ焼き屋に連れて行ってもらいました。もん吉は、表通りではなく細い路地に面していて、その路地たるやドリフの「もしもこんな居酒屋があったら」のセットにありそうなシチュエーションそのものです。たまりません。ところで、そもそも私はもんじゃ焼きが疑問でした。あのペラッ、パリッ、ネトッとした薄い感じのものを、小さいコテでちょっとずつちょっとずつ口に運んで食べるというのは、果たしておいしいものなのだろうかと。しかし、結論から言うとおいしかったのです。おいしかったのですが、食事として食べるにはかなりの量が必要で、かなりの量を食べるにはかなりの量の飲み物が必要であることがわかりました(しょっぱくて)。でも、もしかするとお好み焼きより好きかもしれません。そして、閉店時間が近づいてくると、まだ食べてるのにどんどん色んなもの(ヘラとか調味料とか)が下げられていくのがすごかった。煙の匂いをまとって、月島を後にしました。ところで月島は島だということを今回初めて知りましたよ。 ■もん吉(グルメぴあサイト) 亀戸の朝そして品川 タマ夫妻の亀戸のマンションに泊まり、朝を迎えました。そういえば結婚している友達の家に泊まったのはこれが初めてです。ここで、昨日浅草で購入したペリカンの角食パンが登場です。持って帰ってもよかったのですが、なるべくフレッシュなうちに誰かと食べたかったので、朝ご飯に使ってもらいました。「みっちゃん!これおいしいから!」と勧められたスライスオレンジのハチミツ漬けマーマレードは、それはそれはジューシーで美味でした。なかなか手に入りにくいものなのだそうです。ファイヤーキングのマグに淹れたてのコーヒー。ペリカンのパンにマーマレード。目玉焼きにほうれん草のソテー。すばらしい…そしておいしい。ありがとう。ペリカンの食パンは、不思議なおいしさのパンでした。素朴で繊細な、優しい味なのですが、なんか味にオーラがあります。違う世界から来た感じなのです。今日は夕方の飛行機で帰るので、ゆっくり遊ぼうにも実はあまり時間がありません。いろいろ考えたのですが、羽田への行きやすさを考えて品川で水族館を見ることにしました。品川は、私が今回訪れた街の中で最も異質な街でした。というか、すっかり忘れていたのですが、この日は東京国際女子マラソンの日で、駅の前をおもいっきりランナーが通過中で歩道橋が大混雑になったりたいへんなことになってました。Qちゃんはとっくに去った後だったようです。残念。 品川そして羽田へ 品川の水族館=エプソン品川アクアスタジアムは、スマートな(?)ビルの中にありました。ここで何がすごいって、アミューズメントパークのメリーゴーランドがすごかった。まわってる動物が全部、海の生き物なのです。いちばんいけてるのはタツノオトシゴでした。乗りませんでしたが。ここの売りであるらしいイルカショーは大盛況で、設備も立派で素晴らしかったのですが、さあ次は何?と思っていたら突然終わったのでけっこうビックリしました。もうちょっと構成を考えた方がいいと思ったよ。館内全体はそれほど広いわけではなく、わりと一点豪華主義的な作りでしたが、見応えはあります。タマも私も、水槽のガラスの厚みにやられて目の焦点が狂い「なんかめまいがする」と言いながら歩きました(若くない感じ)。 そうこうしてるうちに時間がなくなり、品川駅近くにあったラーメン博(?)的なところでパーコ麺を食べ、駅のコーヒースタンドでコーヒーを飲んで、別れました。彼女とはいつも駅で別れている気がします。あとはもう、帰るのみ。羽田空港でお土産を買うつもりだったので、ちょっと余裕を持って空港へ。以前、知り合いが「羽田空港のラ・ベットラで買ったプリンがおいしかった」と言っていたのを思い出し探したのですが時間切れで、キハチのプリンを買いました。いつもいつも、帰りの飛行機はなんだかさびしい。私は羽田発千歳行きは、夕方の便しか乗ったことがありません。だからいつも、悲しいくらいにきれいな薄暮時の東京が傾き遠くなっていくのを、空の上の小さな窓から眺めて帰ります。帰った札幌はみぞれまじりでやっぱり寒かった。毛穴も引き締まったところで、旅はおわり。また行きまーす。 ■エプソン品川アクアスタジアム -
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