出向コージ苑

2002年04月06日(土) 懐かしの宿舎

とみぃ嬢のドトールな弟君が姉君と同じ大学にやってくる。

今日は宿舎の入寮日である。
コージ苑やとみぃ姉が住んでいたのは今からざっと8年前のこと。
その時でさえ付き添いの叔父をして「牢獄のようだ」と言わしめた寮であるが、
その古さ汚さは今も全く変わっていないようだ。
(いや、むしろ8年経っているだけに一層ひどくなっているんだと思われる)

大学宿舎は大きく分けて3ブロックに分れる。
とみぃ弟が入るのは北側の一の矢宿舎であるが、ここは「比較的」新しい。
一等古いのは南側にある平砂宿舎である。
そこのある男子棟は、その荒みっぷり故に「スラム」と呼ばれ、
特に1階は「グランドスラム」と特別に名前がつけられている。
以上、大学内スラングの豆知識。

学生寮といえば怪談の宝庫。
コージ苑の大学もご多分に漏れず、色々な話がある。
なんたって荒俣某が雑誌の記事にした位のオカルトな大学、その手の話はてんこもりだ。
中でも「マラソン幽霊」の話は傑出している、と勝手に思っている。
これは怪談というよりもどちらかというと笑える話で、
ある試合でゴール直前に倒れ、そのまま亡くなった体育専門の学生が、
夜な夜な宿舎の壁を突き抜けて走っていく、というものである。
「ええ、どこからともなくこちらへ走ってくる足音がするんです。
で、向こうの壁からすっと彼が現れ、反対側の壁へと消えていくんですよ」(目撃者談)
別段悪さをするわけでもないが、毎夜のことになるとどうにも眠れない。
困った学生のうち、一人が解決策を考えた。
即ち、部屋の壁の前にゴールテープを渡しておくのだ。
そしてその夜、いつものように現れた幽霊君はめでたくゴールし、成仏したという話。

ここまではおそらく真面目に語られていた(そうか?)怪談であるが、
誰が冗談で言い出したか、この話には後日談がある。
しばらくは安眠でき、満足していた学生たちであるが、
彼がもう二度と現れないとなるとやはり寂しい、と思い出した。
豊平川にサケを取り戻そうキャンペーンのごとく、彼等は幽霊君を呼び戻そうとして、
ある夜に、スタート用のピストルを高らかに鳴らしたのである。
すると、どこからともなくタッタッタッという足音が聞こえ、
部屋から部屋へと走るマラソン幽霊は大学に帰ってきましたとさ。


…嘘だろ、どう考えても。


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