許して、コージ苑の王子様(註:トッティ)。 今日は貴方よりアフガニスタンなの。
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昨日コメディ、今日シリアス。 「カンダハール」を観る。 主演は職業女優ではない、かつて祖国からカナダへ亡命した女性ジャーナリスト。 話のあらすじも、彼女自身の体験から貰っているそうだ。 「社会から女性が消えた」アフガンに残る妹から、自殺をほのめかす手紙が届く。 主人公はそれを止めるべく、亡命先からアフガンに戻り、カンダハールを目指すのだ。 映画はドキュメンタリータッチで、彼女の旅路を追う。
この作品が、どの程度現実を映しているのかコージ苑には分らない。 赤十字のヘリからパラシュートで降下される義足と、それに群がる一本足の男達。 個体として識別可能なのかすら分らない、ブルカをまとった女達。 盗賊に会いながら「神様ありがとう」と、ひたすら唱える一家の長。 死体から抜き取った指輪を「1ドルで買って」と言う少年。 何も考えずに観ればシュールで、ともすれば喜劇調にもなりうるこの映像の数々が、 おそらく彼の国では紛れもない日常なのだろう。 理解しようにも、到底しきれるものではない。 正直に言えば、同じ現在に在るとは思えない風景であり、文化であり、人々である。
それでも、女性である事にさほど不便を感じない自分は幸せな国にいるのだと思った。 帰ってみると、テレビではここ数日のお決まりとなったW杯のダイジェスト。 夜の街で騒ぐ日本の若者が映っている。 ああ、日本にいる私は幸せだ、ともう一度思った。
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