2002年05月14日(火)


「キジの野郎、俺を脅かそうと思ってこんな模型を…!」

そこにあったのはトカゲだった。
それに気づいた瞬間、その模型はわずかに動いた。

トカゲじゃん。

あまりのことに言葉を失う僕。
なぜ、どうやってこの部屋に入り込んだのか。
確かに、アパートの前庭には藪があり、夏は蚊が大量発生間違いなしだが、
ここは二階だぞ。
お前登ったのか。
それとも玄関から邪魔したのか。
俺に張り付いてきたのか。
鞄に入り込んだのか。

あらゆる場面を想定したとしても、それは到底不可能なことと思えた。
トカゲとはかくも不可思議な生き物だったのか。
僕はそのトカゲをまじまじと見つめ、放っとくことにした。
そのうちトカゲはするすると物陰に隠れ、人目を忍んだ。

今度見つけたら名前をつけてやろう。
飼えるといいな。

そんな思いを抱きつつ、僕は家をあとにした。





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