Diary 有加利 【
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- 2009年10月18日(日) プチ連載「一護とルキアの立場が逆だったなら/出逢い編(仮)」その8
「そんな訳だからお前、家の中に逃げてろ!」
再び少年は化け物と対峙する恰好をとった。
日本刀が柄の部分まで血(体液?)に塗れている。それは多くの化け物を切ってきた証か。
(刀・・・?)
ふと何かひっかかるものを感じた。
そういえば少年はあの刀で戦っていたのか。
「お前とお前の姉貴、まとめて俺が護ってやる!」
私は玄関の中へ引き返した。
言葉が頭の中に蘇る。
『何かあったらこれで自分を護りなさい』
階段を勢いよく上がって部屋に飛び込みクローゼットを開けて検討を付けた場所に腕を差し込む。
手に当たった感触に満足して引き寄せるとそれを左手に抱えて再び玄関に向かった。
化け物と少年は先ほどと何ら変わらない状態で対峙している。
「何やってんだ!逃げてろっつっただろ!!」
私に気をとられこちらを振り向いた瞬間、化け物が動いて少年の体を横から打った。
転がるように民家の壁に打ち付けられる少年。
その行方も気にせず、化け物はこちらを見据えていた。
私は抱えたものをしっかりと左脇に固定するように握りなおした。
それは1本の薄汚れた日本刀。
腰を落とし、抜刀の構えをとって神経を集中する。
閉じた瞼の裏に、体の底から溢れ出すような気の流れが映る。
それを制御する感覚がどんどん研ぎ澄まされ高められていく。
(倒せる・・・!)
私は目を開いた。
「莫迦!お前なんかでどうにかなる相手じゃ・・・」
「五月蝿い」
体勢も立て直していない少年にそれだけ言うと同時に駆け出した。
化け物もこちらへと迫ってくる。
奴の動きは少年との戦いでなんとなく把握した。
自分の見込みが正しければ、左足を出した後に右手が振り上げられるはず―
案の定踏み込まれた左足を避けるように跳躍すると、視界にちらりと右手が写りこんだ。
―斬!