Diary 有加利 【
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- 2009年10月12日(月) プチ連載「一護とルキアの立場が逆だったなら/出逢い編(仮)」その7
言葉はどちらが発したものとも分からなかった。
いつの間にか家から飛び出していた私の前には、化け物の姿があった。
少年が首だけこちらに向けている。
何かを言われている気がしたが、何も聞けず何も答えられなかった。
呆然と佇むしかない、その威圧感の前には。
私はただ殺されるのを待つ、ちっぽけな人間に過ぎなかった。
化け物が動いた。
(やられる・・・!!)
その瞬間、視界が真っ赤に染まった。
化け物が真ん中から綺麗に左右に分かれて倒れていく。
その間から現れたのは、先ほど別の化け物と戦っていた少年の姿だった。
「ふぅ!間に合った!」
さすがに最初の立ち回りの時のような余裕は消えていたが、
それでも体力はあるらしい。利き腕を大きく一振りすると軽く肩をならしている。
「お前、自分が狙われてるってのにまっっったく自覚がねーんだな!」
「・・・は?」
意味の分からないことを言われて、私は曖昧に聞き返すことしかできなかった。
まだ先ほどのショックから抜けきれていないせいもあるのだろう。
「簡単に言うとだ、この祭の原因はお前だよ」
「は!?私がどうして・・・」
「さっきの虚・・・化け物だけど、あいつらは霊力の高い人間のところに来る習性があるんだ。その霊力の高い人間がお前!」
びしっと指を差されて言われてもピンと来なかった。
「それも相当な霊力の高さのな!」
少年は言いながらくるりと私に背を向けた。
その先にはまた化け物が姿を現していた。