日日雑記
emi



 やっぱりドルフィンに

行ったクチです、あたしも。わはは。

先日「されど我らがユーミン/宝島社」をたいへん興味深く読みました。ここ7、8年は新しいCDを聴くこともなくほどよい距離関係を保ってますが、あたしの青春(げろげろ)はユーミンとともにありました。

いつの頃からか「ユーミンのファンです」と言うのは、「クラシックはベートーベン」とか「ルノワールの絵が好き♪」とほぼ同じくらいベタな趣味にとられそうで、敢えてカミングアウトは避けてましたが今日は言います。
「あたしはユーミンが大好きです。彼女の才能を超える人は、あと百年たっても出てきません(断定)」

彼女の特徴は「徹底した客観性、テーマの普遍性、詩と音の相乗効果」の三点にあると思います。これは夫君の松任谷氏の貢献も大きいのですが、詩と音の情報をダブらせず、できるだけ削ぎ落とす方法は日本古来の伝統芸能に共通していえることです。

聴き手によっていくつものストーリー展開が可能なのも、行間に間を持たせる絶妙なテクニックのなせる技。ためしに今流行っている歌の歌詞を見てごらんなさい。おそらくたったひとつの道筋(方向)しか提示できていないでしょう。短い時間と狭い空間のディテールを繰り返すので、他の想像の入る余地がないのです。

もちろん彼女にだって失敗や的外れはあるし、秀作が多いのは長いキャリアからくる確率的なものかもしれません。
それでも依然としてトップとしての地位が揺るがないのは器の大きさの違いとしか言いようがありません。かつてなぜここまでやれるのか、という質問に対して
「オリジナリティがなくても業界でやっていけてる奴らへの怨念」
と言い放ったユーミン。アーティストとは死ぬまで「これでいいのか」と自問しながら突っ走っていく人間のことをいうのです。「無理をしない等身大の自分」なんて無神経なセリフは、向上心を放棄した都合のいい言い訳と認識しましょう。

2002年02月07日(木)
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