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2002年03月26日(火) Who's Edge

またまた実家(以下略)



少年は、「好きな人」に会いに行きました。
その人の名前を呼ぼうとしました。
すると。
「好きな人」の手にいつのまにかナイフが握られていました。

以前にも同じようなことがありました。「好きな人」が少年をナイフで刺したのです。少年の体のどこかから血が流れ落ちました。その液体はとても冷たそうでした。そのときは、少年は、刺された痛みより、どうして刺されたのかという「?」で頭が一杯になりました。幸い、そのときは軽傷だったので、少年は、その「好きな人」に会いにいける体のままでした。

少年は、いまなら、その「?」の答えが、ほんの少しだけわかっています。でもほんの少しです。それもわかったつもりになっているだけかもしれません。だから、少年は、もう一度刺されてもいいと思いました。刺されて、それで少しずつでも「?」の答えがわかるかもしれないなら、それでいいと思いました。もちろん、刺されたら痛い。痛いのは、少年だって嫌です。できれば、刺されたくない。でも、それが必要なら、刺されてもいいと思いました。血を流すことが必要なら、流してもいいと思いました。
ただ、少年が心配なのは、もし少年を刺してしまえば、「好きな人」はそのことを気に病むだろうということです。「気に病まないで」といくら少年が言ったところで、そういう問題ではないのです。ナイフによって傷つくのは、その持ち主自身もそうなのです。
少年は、やはりまだ少年でしかないのでしょうか。たとえ少年でしかないとしても、物語のつづきを紡ぐことは、できないのでしょうか。
少年の答えは――。
そして、「あなた」は――。
ねえ、どうなのだろう。
そのナイフは、誰が誰に向けたものだったんだろう。
僕らは歩いている。終わりなき日常を。短き永遠を。
いつも一人で?
ねえ、どうなのだろう。
こんな問いかけ自体――ねえ、どうなのだろう。


『神よ、願わくば、わたしに変えることのできない物事を受けいれる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ』(引用元不明)


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