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2006年02月20日(月) Science

Scienceと創造性がよく結び付けられるが、
実際にはScienceは何かを産み出しているわけではなく、
すでに自然の中に存在している一つの答えに向かって、
近似解を出しながら近づいて行く作業だ。
創造性があるとすればそれは、
その近似解の出し方に宿るのかもしれない。
しかしそれも、決してあるときぽんと出てくるわけではなく、
その研究分野での流れというものがあって、
世界中の研究者が試行錯誤して一歩ずつ進んで来た結果の上に、
あるタイミングでほんのわずかに先に飛び出した人間が大きな注目を浴びる。
多くの人間が答えはわかっているような状況でも、
それをほんの少しだけ先に実現できる人間というのは一人(1グループ)だけで、
そういうわずかな差分の競争をしているのがScienceの研究であることが多い。
そういう事実を認識した上で自分の研究と他の研究の位置関係を把握し、
全体の流れを掴んだ上で真に大事なタイミングで一歩先に出る。
何でもかんでも自分や自分のグループでやれるわけではないので、
ある場面では「勝ち」を譲り、別のより大きな場面で勝つ、という戦略も必要になる。
すべては積み重ねの上でのタイミングなのだ。

これが、Scienceの最前線で多くの世界的成果を出している場所で僕が学んだことです。


sora |MAIL