Underground
2005年02月07日(月)
ふれた頬はつめたかった。
彼女の顔に耳を近づけるとかすかに呼吸が聞こえる。
ただ、静かな寝息が聞こえる。
この小さな息が、そのまま消えてしまいそうな、そんな気がして手を捜す。ふれた手もまたつめたかった。わずかに反応する指を覆い隠すように手を重ね握り締めた。
これ以上つめたくなってしまわないように。
不意に彼は立ち上がりまた彼女の頬にふれた。
「つめたかったのは俺の方だったのかもしれないな。」
その音はだれもいない闇の中に溶けていった。
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かわ_しょ [
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