ふうこの英国留学日記-その後

2002年10月12日(土) flexibility and effort

私のフラットにペルー人のダニエルがいて、(あのシンガポー
ルダニエルの隣)、経済学をディプロマからやっている。
ペルーの政府関係の組織で働いていたらしく、日本のJICAに
3ヶ月視察に来ていたそうです。私に会うと、
「ふうこさん、こんにちは」と日本語で言う。
「盛岡はいい街でした。九州も良かった」などと私の行ったこ
とのない、場所のことを良く話すので、なんとコメントして
いいのやら、自分がいかに日本の地方をを知らないかということを実感する。

そのダニエルと今日、キッチンで真面目な話をしました。
(風邪ひきで、咳ゴホゴホの私は、外に出ることもままならず、塩水と
オレンジジュースとブロッコリーで生き延びている。キッチンでTVを見るか、
部屋で本を読むしかやれることがない。)

話題は翻訳学から社会慣習の違い、経済問題に移り、彼は
「日本経済はliquidity trapにはまっている」とマクロ経済では習っ
た。と言っていました。その後、山形浩夫のサイトでクルーグ
マンのJapan'S trapの論文を読んだ。難しい。。。でも基本
的な考え方はわかったような気がした。

将来的にインフレ期待がない、給与の上昇も見込めない国では、物価の変動も
少なく、人はお金を使おうとしないから、景気は良くならない。
。日本は少子高齢化で、将来の労働生産力は上がる見込みはない、そして
需要も下がっていく。あと、この流動性資金が動かないという罠の中では、
一般的に金融政策は上手く働かないというのがポイント。

しかし、将来的に、マーケットも労働生産力もあがる見込みがない国で、
景気をよくしようというのは無理な気がする。

日本という市場が小さくなる一方、海外市場も日本にとっては厳しいものになっている。アジアの国々は、技術力を身につけ、かつては日本で作られていた精密機械
は日本人のエンジニアの手によって、設計されながら、多くはアジアの工場で作られている。いわゆる産業の空洞化だ。そして、今や、アジアの国々は日本から学び、自国で技術者や会社の運営を行なえるようになってきた。
他のアジア諸国と日本では、労働コストの賃金格差の前では、日本は圧倒的に不利だ。

私たちの世代は、今までの日本人のように、世界の経済大国ではない日本を
見ると思う。そんな中で、日本人としての誇りとしえ胸に持ち続けられるのは
なんだろう。ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏のニュースは多くの日本人を
励ましている気がする。ドイツの教授の研究だと認知度が高かった、その技術は原理は日本人技術者が以前に学会で発表していたものだった。

私は、ここイギリスにいて、多くのアジア系学生と一緒に学ぶ中、日本人の
利点というのはいろいろあると思った。多くの日本人学生に見受けられる、
自信がなげな謙虚な態度は、時に、貪欲に他から学ぼうという姿勢に繋がる。
自信満々なアジアのエリートは、人の意見に耳を傾け、吸収することが下手に見えることもある。
コミュニケーションが取りやすいこと、いいと思ったものには、抵抗無くどんどん
取り入れていくこと、こういった、日本人の柔軟性はとても優れた能力だと思う。

あとは、地道な努力を怠らないこと。。。(これが一番私にとって難しい)

ほとばしるような才気溢れた、アジアに俊才たちにないものを日本人の若者は個人の才覚として持てる可能性がある。それは、金メダルとかには換算されないかもしれないけれど、目に見えない利点こそ、大事なのかもしれない。


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