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「槞梛俚庵(るなりあむ)


時折綴

2001年07月22日(日) 夏祭りのあと

今年もこの連休中に、夏祭りが開かれた。

子供の頃から、わたしは夏祭りを楽しみにしていた。
夕方から聞こえてくる太鼓の音や、提灯にわくわくしながら、
夜の訪れを待ったあの日。
特別なお小遣いを貰って、浴衣を着せて貰って、
近所の子たちと誘い合って行った夏祭り。

わたしは生まれ育った町に、今も住んでいる。
その夏祭りもまだ開かれている。
でも…

この辺りは団地の立替計画が進んでいて、だんだん引っ越す人が増え、
ゴーストタウン化しつつある。
遅くまで家々の明かりが灯り、子供達の声が外まで聞こえていた
あの明るい夏の日々が懐かしい…

お祭の矢倉(やぐら)も3階建てで、1階では子供会の皆が輪を作って
踊ったりして、矢倉に上がるのが楽しみだった。
夜店もそれはたくさんあって、お小遣いの小銭を握りしめて
どれを買おうか、どきどきしながら品物を眺めた。

おもちゃを売る屋台の店先で、普段いつも見なれているはずの
可愛いペンダントや指輪も、夏祭りには何か別のものみたいに
きらきら光って、誘惑していた。

わたしは、窪みにビー玉をひっかけて飲むラムネが大好きで、
そして飲み終わった後、ビンを返しに行くとお金が戻ってくるのが
何とも嬉しかったものだ。
得をしているわけじゃないのに。

わたあめ、あんずあめ、べっこうあめ、たこやき、
やきそば、金魚すくい、ヨーヨー釣り…

それが今は、年々寂れて行くばかりだ…

矢倉も足場と太鼓を叩く所だけになった。
提灯が減って、お祭の広場も暗くなってしまった。
夜店がめっきり減ってしまった。

変わっていないものがあるとしたら、それはまだ
わたしが夏祭りを楽しみにしているということ。
娘も毎年、わたしに浴衣を着せて貰って、友達と誘い合わせて
お祭に行くのを楽しみにしている。
夏祭りが大好きな心だけは、変わっていない…

お祭のあとは、何となくもの悲しい。
夏を見送る寂しさを感じるからだ。
それが毎年、もっと寂しく感じるようになってしまった。

来年は、夏祭りができるのだろうか…


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冰月まひな [MAIL] [HOMEPAGE]