警察関係の人が犯罪を犯したりすると、それがすぐニュースになるでしょ? そのたびに、わたしは哀しくなるの。
「踊る大捜査線」を好きになったのは、このチョウさんとの 出逢いがあったから。
中学3年生の盛夏、受験対策ゼミに通っていたときのこと。 駅で帰りのバスを待っていたら、あまりの暑さに気分悪くなっちゃって。 しゃがみこんでいたら、駅前の派出所のおまわりさんが声をかけてくれたの。 貧血で意識が朦朧としてたわたしを、派出所に連れてってくれて すごく良く看病してくださったの。 でも貧血が少しも回復しないので、救急車を呼んで下さって。 わたしが病院に行ったあとも、母に電話してくれて。
そのおまわりさんは、「チョウさん」と呼ばれていたんだ。
元気になって、母と一緒にお礼のご挨拶に行ったときも すごく照れていらしてね、 「警察官として、当たり前のことをしたまでです」って言って。
高校に合格したときも、入学したあとも、同じ駅を使っていたから 何度も逢いに行ったのだけど、もぅチョウさんは他へ転属されていて。 転属先を聞いたのだけど、地方で逢いに行くことはできなくて。 お手紙を出そうか とか色々考えたのだけど、 やっぱり驚かせちゃうかな とか もぅ忘れちゃっただろうな 忘れられちゃってたら… どうしようかな とか余計なことばかりが気になって。 しょうがないよね。だって高校生になったばっかで、 多感な年代だったんだもん。
その派出所があった駅は、今のわたしの棲息域からはかなり遠くなってしまって しょっちゅう利用することもできなくなってしまったけど、 それでも年に1、2回ほど、用事で通り過ぎたりするたびに思い出すの。 チョウさんが居たときのあの派出所のこと その駅のこと―――。
あの頃、まだ若いおまわりさんだった「チョウさん」。 今はもぅ50代になっていらっしゃるのかな。 今のこんな時代、どんなふうに思っていらっしゃるだろう。 「踊る大捜査線」の青島くんのように、熱く頑張っていらしたらいいな。
そして もう一度「ありがとう」って言いたいな―――。
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