昨日の雪も、夕方には止んでしまい、ちょっとがっかり。 きっと朝には、ばりばりに凍っているんだろうな。
熱もしっかり下がったのだけれど、風邪がぬけきっていなくて。 風邪薬を飲むと眠くなってしまうから、一眠りしてから4時に起きて「蟲師」を観る。
こういう時ばかり、何処からか「根性」が沸いてくる。
今夜のお話は「一夜橋(ひとよばし)」。
或る深い山間に、取り残されたような村がある。 深い谷に阻まれ、そこへ通う人もない。 旧いしきたりに縛られた哀しい村だ。
20年に一度、たった一晩だけ、谷に橋が架かるという言い伝えがある。 それを渡れたものは、必ず幸せになれるという。
でも橋から落ちたら―――
或る日、谷へ落ちた者がひょっこり戻って来る。 でもそれはヒトとは呼べぬ者となっていて、一夜橋が架かる夜に死んでしまうという。 「谷もどり」と謂われていた。
この一夜だけの橋は蟲のなせる業で、谷に棲息している蟲が、より良い環境を求めて渡りをする時に 橋が架かるように見えるのだと言う。
ただこの谷があまりに深すぎて、陽の光が届かずに、蟲は渡りをするための力を蓄えられない。 それで谷へ落ちて死んだものの身体に入り込み、地上へ上がってくる。
渡りの夜、蟲が抜け出てしまえば、仮の宿になっていたその身体は…。
この村に住むゼンとハナも、幸せを求めて橋を渡ろうとしたけれど ハナは迷って引き返し、深い谷底へ落ちて行った。
でも彼女は、或る日、谷もどりになって帰って来た。 けれど、すっかり彼女は彼女でなくなっていて。
それでも愛するヒトが生きていてくれたら、幸せだろうか…。
ハナがハナでなくなっていても、生きていることに変わりはなかったから ゼンは村八分になっても、つらくても、彼は生きていくことができた。
それが異形のモノに生かされていると知っていても…。
哀しい恋は、哀しい結末に終わる。
ギンコはゼンを連れ出そうとしたけれど、ゼンも谷底へ落ちて行ってしまう。 自らそれを選んだかのように。
蟲の営みは、自然界の営み。 所詮、ヒトは介入できないものなのか。
命、愛情、憂い、そしてしきたり、運命――― そういう動かせないものに思いを馳せた、お話。
次週は「籠のなか」。 これも深く考えさせられるお話。
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