奇跡を信じて〜あれから〜
R



 残された日々

私が思っていたよりずっとHの状態はよくないようだ

夕方Hを含め弟と私の3人で
効果判定の結果と今後の治療について
O医師より話があるとの事だったが
先に弟と私に話しておきたい事があると言われた
「脳の転移の事は御本人にはお伝えしない事にしましょう」と
O医師は話された
そして今後の治療としては
「緩和医療を御本人と御家族が望まれるのであれば
他の受け入れ先を紹介する事も可能です」と言われた
Hが望むのであれば別だが
私は国内のホスピスにHを転院させようとは思えない
今の環境を変えてしまう事はHのストレスになるかもしれない
そして現在入院中の病院から見放されたと
悲観的になる可能性もある
機会があればHに話そうとは思う
今は話す時ではないと判断した

O医師の話は続いた
弟と私は覚悟はしていたが
Hに残された時間は私達が想像している期間より
ずっと短いものである事を伝えられた
隣りに座っていた弟がすすり泣く

私は泣かない
ハートの中に沢山の涙がたまっている
感情はブロックされているのだろうか

昨日の予定では
Hのベッドをカンファレンスルームに移動させ
説明を受ける予定だったが
それは病室にて行われる事になった
Hは積極的に質問をしていく
「先生が治療を続けていけば
中には5年生きている人もいるって
おっしゃられましたよね?それを励みに頑張ってるんです」と
Hは話す
Hは奇跡を信じて頑張っている

Hの気持ちを優先させよう
私が死を覚悟していようとそんな事は関係ない
そう、考えを基本にもどそう
Hが何を望んでいるのか
それに対して私は何ができるのか
私達の感情は二の次である

2002年03月06日(水)
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