-殻-
INDEX| PAST| NEXT| NEWEST
休み明けの僕等は、どこかぎこちない。
互いが何か、ちょっとだけ遠く感じているみたいな、 微妙な空気が月曜日には漂っている。 きっかけは些細な、何気ない一言。 背後からふっと、君の匂いがしたかと思うと、 「Aさんのメール、見た?」 僕のことにも、君のことにも触れない、なんでもない話題。 「見たよ、ひどいよなあ」 凶悪なまでに厳しい、本社の上司から今朝届いたメール。 共通の敵がいるっていうのは、いいものなんだなあ。 ぎこちなさの源は、僕等の微妙な距離感にある。 あまりにも近過ぎて、時々僕自身、君が分からなくなる。 君も同じような戸惑いを感じてくれているのか、 それとも僕の戸惑いに気付いて引いているのか、 結局のところ、真実は君の中にしかない。 そして君は、立場上、本心を明かすことはない。 僕が君の週末を気にしているように、 君は僕の週末を気にするんだろうか。 馬鹿馬鹿しいくらいに遠慮しあって踏み込まないその領域に、 僕の求める答えは果たしてあるんだろうか。 やっぱり今日も君は何も言わないし、 僕も君を問い詰める勇気はない。 時間は勝手に流れていくし、 僕等は今週も、中途半端なパートナーを演じる。 そう、金曜日の夜までは。 INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |