-殻-

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2004年08月30日(月) 寝顔

帰りの新幹線で、君は必ず眠ってしまう。
僕は卑怯にも、それを知っていて君に通路側の指定券を渡す。

いつもは窓側を渡すようにしている。
でも君は、「別に窓側じゃなくてもいいよ」って言ったよね。
まあ、だからというか、何にしても僕は意識的に通路側を渡したんだよ。

思惑通り、と言えばそうだね。
案の定、新幹線が動き出してから10分もせずに船を漕ぎ出した。
通路側は寄りかかるところがないから、自然と窓側に頭が傾く。
その先には僕がいる。

僕はPCで仕事を片付けながら、
僕の肩に凭れ掛かる君の髪の匂いを嗅いでいる。

抱き締めたい。
このまま、君の匂いを貪りたい。
それは遠く、叶わない願い。
こんなに、こんなに近くても、君には届かない。


君は、どんな夢を見たんだろう。
僕の肩に凭れて見る夢は、幸せな夢だったろうか。

君の寝顔は、流れた前髪に隠れて見えなかった。




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