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抱擁■2002年11月06日(水)
長いよ。
つくづく読者への配慮に欠ける日記ですみません。
一時間勉強した後の休憩の時に、生徒が同じ中学で彼女に告白してきた○○君とはまだ続いている、と言ったことから始まった。
「彼氏として見られるのは彼氏一人。○○君に対しては好きとかそういうのが全くないの。」
じゃ、その男は切れ。とっとと切ってしまえ。
「えー?やっぱ悔しかったりするわけ?」
うるさい。
生徒は“第三の人”が出来てしまいそうなことについて、彼氏には悪いとは思わないんだけどね、と断って、
「先生に悪いなって思うんだよね。不思議でしょ?なんでだろ。」
なんだ、そりゃ。
「先生に十分に愛情をあげてなくて悪いなって思う、そんな感じかな?」
そういうのを情けって言うんだよ、うん。
「そうかなー?だったら私、ほんっと失礼な女だよねー。」
僕が、
覚えてるか?始めの頃を。君が僕に対してなんと言ってたか。
と問うと、彼女は恥ずかしそうに手で顔を覆った。 「エー、覚えてないー。ってか、なんで覚えてるの?嫌な人だー。」
ああ、嫌な奴だよ。逐一しっかり記憶してるからな。女性には嫌われるタイプだろーけどな。
あのな、『男はみんな私のことを好きだって言ってくれるわけ。だから先生は私のことを好きにならなきゃいけないの』ってな。でもさ、僕は反論したよ、“君は僕を公式に当てはめたいだけ。僕自身にはなんの興味も持ってないんじゃないか?。どうせ、僕を他の男と同じように消費し、捨てるだけだ、だから止めておけ。”って。
生徒は笑いながら、私ってほんと最悪な女だねー、と言い、
「でも」と僕を見た。
「でも、実際今私の中で、先生は先生しかないポジションにいるわけよ。」
カテキョだよ、ただのカテキョ。それでよし。
長引きそうな話を中断させ、指導に戻った。
で、終わってからはまた話が再開。
「私は、先生に対して申し訳ないと思ってるのかな。病気とかさせちゃって。」
ああ、帯状疱疹な。性欲もなくなった。うつだ、うつ。
生徒は僕の腕に抱きついていた。
「こうしてくっつくのも先生に対して情けの気持ちがあるからかな?」
ん、わからんよ。けど、そんなこと分析することに意味があるんかね?くっつきたいならくっつく。それでいいんだよ。
あんまりぴったりくっつかれるのも恥ずかしいけど。
「私は先生をどういう目で見てるんだろう?」
わからんよ。僕とどういう関わりを持っている?
「勉強を教わる、たまに電話で話すけど、質問するとかで…。」
ただの家庭教師、うん、ただの家庭教師として見てるんだ、な?
そう言う僕に対し、生徒は少しキレ気味で
「それだけなわけ、ないよ。」
と言った。
しばらくして、生徒は携帯を取りだした。
「よし、決めた○○君を振る。先生、そこで聞いてて。」
って、おい、いきなり電話かよ。
生憎、その男子高校生の方が先にメールを入れていて、風邪を引いたから早く寝ると書いてあった。
「病気の人を更に落ち込ませるのはさすがにねー。」
よって、延期。
12時が近づき、僕は帰ることにした。
コタツから立ち上がると、生徒は両手を広げて僕に向かっていた。
何?柔道?
生徒も「一本背追い!とりゃー。」。
「じゃなくてー。」
抱き合った。
何ヶ月かぶりの抱擁。
なんか不思議な気持ち。
まるで恋人を抱いているような気持ちがした。
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