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普通 / 普通でない (12日分も更新)■2002年11月13日(水)

(12日の続き)

指導のあと、生徒の彼氏の話になった。

「彼氏に会ったら、先生殴りそうだよね。」

生徒は気軽にそう言った。

殴る、か。

「そう、こんなかわいい子を独り占めしやがってーって。」

僕は自分の気持ちを言う代わりに、生徒に彼女の推測を話させた。

彼女が僕についてどんなイメージをもっているかを知りたくて。

独り占め、か。それじゃ、殴る理由にならんよ。

「じゃあ、堕ろした子供のこととか?」

子供、か。それなら十分な理由になるな。君に傷をつけた奴は誰でも許せんよ。

「でも彼氏は私に、“将来のことを考えて、堕ろしたいと思うんだったら堕ろしてもいいよ”、って言ってくれたんだよ。」

そういえば、僕は堕胎に至る経緯を詳しくは聞かされてない。

また僕はそんな質問をするべきでないと思っている。

生徒が話したければ聞くことになるかもしれないけれど。





「責任は二人に半分ずつあるんだから。」

でもな、こうなるのを防ぐことだって出来たはずなんだ。なのにそれをしなかった。

「だから、それもお互い様じゃん。」

悪いけど、こういうことは男に責任があるとされるのが普通の考え方なんだよ。

僕がそう言うと、生徒はたばこを吸って話すのを止めた。





普通が聞いてあきれる。

僕の言ってることは全く間違ってるじゃないか。

合意の上で避妊をしなくて、それで妊娠したなら責任はお互い様。

きっと、それが理にかなった考え方、普通の考え方。

だったら、少しも普通ではないじゃないか、僕の気持ちは。





そんなこと、どうだっていい。

彼女が幸せでいてさえくれれば、それでいい。

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