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2004年08月26日(木)


■「薄紅天女」荻原規子
絶大な人気を誇る児童文学・勾玉三部作のみっつめ。…またもや読む順番を間違えました。一作目のしなやかなけもののような、いかにも人ではないようなちはやの混沌(無我?)から自我を獲得していく過程が鮮やかで、一作目が一番面白いといわれているのも頷けました。三作目も基本的に同じ話ですが、かぐとくらの存在が時代を越えていき、少しずつ存在が変化しているのが面白いなと思いました。

■「鍵のかかった部屋」ポール・オースター
これも三部作のみっつめ。ひとつずつでも読めると聞いていたけれど、思ったよりずっとみっつでひとつという印象でした。最後の作品まで読んで、ようやく腑に落ちたという気分。感覚で味わうというよりは、思考して追っていくような感じで、気を抜くと意味を落としていたりするので、読みやすいのに読みにくい作品でした。それにしても、オースターは物語に入り込むタイミングがいつも唐突だなと思う。

ラストの方の、パリでファンショーを獲得するところが鮮やか。そういう瞬間は確かにあると思う。