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2004年08月29日(日)
■「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ この人については、なんだか興味を持てないでいたのですけれど、”文学賞メッタ斬り”の記事を読んで読む気に。想像以上に面白かったです。恋愛小説と言われているけれど、恋愛ものを読みたいと思っている人は一番向かない読者だと思う。なにしろ小学生2年生から物語は始まり、中学卒業までの日々が延々と続くのだ。あの年代の恥ずかしい妄想とか勘違いとか、変な人間関係とかがずっと。色んな子どもたちが丹念に描かれていて感心しました。特に作者の女の子へ向ける目が非常に冷静で冷徹なので、このひとはグループから外れていたか、目立たないようにそうっとついてまわるような(でも気の強い)文学少女タイプだったのではないかなと思ったり。 最後の章はどう考えてもおまけのようなもので、必要ないというひとも多いと思うのですが、なんだか痛いような気分になったのでした。同級生が一同に会する場面があって、地元とかそういう連続性に。友達はいても、地元というものがないもんな。 文章がひたすら気持ちよく、上手だなと思いました。時おり作者の言葉が入ってくるのが笑えました。登場人物に呼びかけてどうする(笑)。でもかなりの力作には違いないので、直木賞取れなくて残念でした。じゅうぶん賞に値する作品だと思います。 ![]() |