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2005年09月22日(木)


■「インストール」綿矢りさ
彼女の場合、最後の棚にあるので探しやすくていいなあ。ずいぶん話題になったのですごい(エグイとかそっち方面)のを想像していたら、爽やかといってもいいほどあっさりとした小説でした。若い割にはよく書けている、というのではなくて、17歳が書くべきものを書いているという感じで、かなり好感が持てました。きっちりと”ちょっと斜に構えた優等生からの目線”で描かれていて、頭がいいのか踏み外しそうになると自然に軌道修正してしまうのが、つまらないといえばつまらないのかもしれないけど、ある意味こちらも気が楽でいいんですよね。他者にたいしても自分に対してもひとしく冷めていて、この感覚、わたしは好きです。うん、部屋のものを全部捨ててみるっていうのはいいかも。無くなって本当に困るものってたいしてないんだろうな。

■「吉原はこんな所でございました」福田利子
読了。読み応えがありました。吉原っていうと、ずっと映画の「吉原炎上」を思い浮かべていたんですが、本書は実際に吉原で生きてきたひとの語りですから、ずいぶんまなざしが優しくて、とても華やかで明るい場所という印象を持ちました。福田さんは引き手茶屋という種類のお店を持っていて、花魁のところまでお客さんを案内したり、待たせるあいだ歌や芸などを見せておもてなしをする場所で、粋なお客さんになると、引き手茶屋だけで遊ぶのだそうです。

で、まあ戦争などあって、吉原や赤線などが廃止された後に、吉原の文化を残すために花魁ショーというものを始めたそうです。そういえばそんな話を聞いたことがあるような。。まだあるのかしらん。

戦争のあたりはやはり大変だったみたいで(彼女自身は運良く吉原を離れていたのですけど)、東京大空襲では、町のまわりをまず焼いて、それから中心に爆弾を落としていったという話で、花魁もお客さんもずいぶん亡くなったそうです。

最後の方では歌舞伎や文豪など、知った名もちらほら。花魁ショーがベニスに招待される話なども面白かったです。吉原は日本の文化か恥かと、テレビ討論になったそうです。一言でまとめると、吉原は新宿でも銀座でもなくて、吉原なんだなあということになると思います。

■いろいろ
荻原規子の傑作「空色勾玉」がノベルスになりました。1000円。買おうと思ったんですが、ぱらぱらめくってみたところ、どうせ買うなら単行本の方がいいような気がしました。ニ段組は好きなのですが、どうもこの物語に限っては合わないような気がする。天照とか、日本のかみさまのお話です。

で、彼女の「西の善き魔女」は3巻を読み終わりそうです。うーむ、勝手にナルニア国みたいな話なんだろうと思っていたら、全然違いました。これはライトのベルというか、少女小説ですな。。キャラクタも世界観もあまり萌えないんだけど、先がどうにも気になってしまいます。ストーリーテラーとはこういうひとのことを言うんだろうか。

あときゃーとなったのは、百鬼夜行抄の新刊! 昨日行った本屋では売り切れていて涙が出そうになりました。これからゆっくり読みまする。ああ、、

それから映画のモンスターをちらほら観ました。クリスティーナ・リッチが出ていたんですね。相変わらず上手いなあ。そしておでこ広いなあ。。吹き替えだったせいもあって、シャリーズ・セロンは本当に別人のようでした。思ったより悪くなかったけど、わたしはボーイズ・ドント・クライの方がうんと好きだなあ。やっぱりどうしたって自分の人生を誰かのせいには出来ないんだよ、と思う。

「シークレット・ウィンドウ」
ジョニー・デップです。予告を観たときにものすごくつまらなそうだなあと思っていたので、思ったよりは楽しめました。彼の前半の細かい演技が楽しい。なんで犬とあんなに通じ合っているのか(笑)。あと妻の浮気相手が妙に愛嬌がありすぎてこれも可笑しい。全体的には抑揚があまりなくてたぶんみんなの予想通りのオチでサイコホラーなのにかなり眠いです。わんこかわいそう。。